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益田 和久

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第139回 ライドシェア

2023/11/02

最近国会で「ライドシェア」の議論がされています。
「ライドシェア」とは、車の相乗り需要を満たすマッチングサービスです。
車の所有者(運転者)と移動手段として車に乗りたいユーザーを結びつけるソーシャルプラットフォームが提供されます。
ライド(乗ること)をシェア(共有)するからライドシェア。
ちなみに「カーシェアリング(カーシェア)」は車本体を貸し借りする「モノのシェア」で、ライドシェアは乗ることをシェアする「移動のシェア」になります。

ライドシェアは、タクシーと同じようなサービス形態で、近くを走っている、もしくは予約した車が迎えに来てくれます。
アプリ内で行きたい場所を入力して車が来たら乗るだけ。
決済もアプリ内で完了。
道順を伝える必要もないため、ことばが通じない海外の方の移動も格段に便利です。
最近よくみかけるタクシーの「GO」や「SRIDE」も、ライドシェアと同じようなアプリを使っていますね。
「乗ったら降りるだけ」という形態は着実に浸透しつつあります。

ライドシェアとタクシーの唯一の違いはドライバーさんが一般人ということ。
現在の日本の法律ではライドシェアは「白タク(自家用車でタクシー業務を営むこと)」にあてはまるので違法だとされています。
タクシーは事業許可を得て営業用の緑ナンバーをつけていなければならず、白ナンバーの車両(自家用車)は有償で人を輸送することは違法行為となっています。

とはいえ、ここ最近のタクシー(ドライバー)の不足は顕著です。
地域によっては21時を過ぎるとタクシーがいないところもあり、飲食店などにも影響がでているようです。
つい最近私も福島県の白河で、タクシーがなかなかつかまらず、大事な仕事に遅れそうになりヒヤヒヤしました。
ようやく乗れたタクシーの運転手さんに「タクシーが足りないんですよね?」と問いかけると「タクシーは十分量あるけど、タクシードライバーが不足している」という回答でした。
コロナ禍の影響で一気に減少(転職、廃業)したといわれるタクシードライバーさんですが、景気がよくなったからといってまた戻ってくるということにはならないようです。

海外ではライドシェアは一般的ですが、日本はなかなか進みません。
遅れている理由としては、次のようなことが考えられます。

①タクシー業界のライドシェアサービス導入への強い反対姿勢やロビー活動がある。
②ライドシェアサービス提供に関する法的制限や規制が整備されていない
③日本ではタクシーが一般的であり、ライドシェアを受け入れる土壌が弱い。

まだまだ他に理由はあるとは思いますが、(あくまで私見ですが)大きな理由は①だと思います。共存共栄するのか、弱肉強食でいくのか。やみくもに規制緩和をしてもいいとは思いませんが、タクシーが不足して困っている状況が各地で頻発しているのは事実です。
地図やナビのアプリやソフトがこれだけ一般的に浸透すると、地理に詳しい必要もありません。
決済システムをいれると、金銭授受上の問題もないでしょう。
Uberのように相互評価のしくみもあれば、セキュリティやサービスも向上していくはずです。
あとは懸案事項を乗り越えるための法規制や環境整備が焦点になってくるでしょう。

ITの進化により生まれたライドシェアサービス。あれこれ議論するのもいいですが、まずは実験的にやってみてはどうかなと思っています。
トライアンドエラーを繰り返すことで、それぞれの地域に必要な「日本版ライドシェア」が根付いてくるのではないかと思った今日この頃です。