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深山 敏郎

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第122回 困ったときの老荘だのみ エピソード22「うつろだから満ちる」

2023/10/17

コラムの121回目では、老子の言葉「不滅のエネルギー」を検討してきました。
不滅のエネルギーとは、人が「道」と一体化したときにはじめて得られる、いわば宇宙のエネルギーといったものです。

今回は老子の言葉「うつろだから満ちる」をご紹介します。

「うつろだから満ちる」とは

老子の言う「うつろだから満ちる」とは、自然の法則であり、欠けているから、完全になり、古いから、新しくなるということです。
もし器に水が満たされていたら、新たに水を入れることはできません。
この法則を体得した聖人は、自分を主張することなく「道」にのっとることで自然に天下の規範となります。

真の知者は、自分のことを知者だとは思いません。
だからこそ周囲から知者と認められ、また、自己が正しいと主張しないために、周囲から正しいとみられます。

自己を否定して人と争わない人

自己を否定して、他者と争わない人に喧嘩を挑む人はいません。
自己主張を捨てて「道」に沿って生きることで、その人は他者と争わず万全の力を得ます。

私たち小人(しょうじん)は、なかなかそれができないですね。
常に自らの尺度で他者を判断し、時には争いの種をまきます。
そうした日常の中に、なかなか聖人になれない私たちが居るのです。

理想を理解し、しかし自分は理想とはかけ離れているということを自覚することで、他人と争わず、日々を過ごすことに大きな価値があるのでしょうね。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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