コラムの120回目では、老子の言葉「愚者の心」を検討してきました。 愚者とは賢者のことであり、自らを知る者のことです。
今回は老子の言葉「不滅のエネルギー」をご紹介します。
「不滅のエネルギー」とは
老子の言う「不滅のエネルギー」とは、人が「道」と一体化したときに得られる、尽きることのないエネルギーであり、宇宙のエネルギーということができるでしょう。
かなり抽象的ですが、老子のいう「道」とはそのようにかすかで、おぼろげで捉えようがないものです。
いわば普遍的な存在の実態とでもいうものです。
奥深く探りがたいその底に不滅のエネルギーが存在し、そこに確固たる法則があると、老子はいいます。
私たち凡人には直接知覚できないものであり、老子も直接知覚したのではなくいくつもの事象を洞察した結果推論したものであると考えられます。
冷静に、何の偏見やこだわりももたずに自然に任せる心がある人にのみそれが可能であったのでしょう。
改めて「道」とは
老子は「道」について、こう言っています。
「太古より今日に至るまで、『道』は絶えることなく存在し、万物を統括している」(徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」より引用)
万物の根源が「道」であり、私たちが何かを理解するのは、この「道」が万物の原理原則を教えてくれるからなのだ、と老子は言います。
そうしたことを少しでも意識すると、何と心が軽くなることでしょうか。
私のような未熟な人間が、自己に失望する必要はなく、一度、冷静に自分を振り返ってみると、この「道」がおぼろげにでも分かってくるような気がします。
本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。
「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。
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(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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