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益田 和久

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第134回 リモートワークマネジメント

2023/09/28

コロナが5類変更になり、出社する会社が増えてきました。
厳密にいうと「出社する日数」が増えただけで、原則リモートワークという企業はまだまだたくさんあります。
リモートワークを3年以上も続けていると、働き方や仕事の進め方については、一定の型やリズムができてきたという話を耳にしますが、これはある種の”慣れ”ですよね。
ただどれだけ慣れてきてはいるものの、管理者の方々と話をすると、リモートワークのマネジメントはいつまで経っても難しいという話を聞きます。
部下がどれだけ頑張っているのか、いやホントに頑張っているのか。
その逆で自分たちの指示や命令がなかなか上手く伝わらない。
ましてや管理職がリモートワークマネジメントでどんなに大変な思いをしているのかなんて、到底伝わらない。
といった話をしょっちゅう聞きます。
確かにリモートワークの環境では、物理的な距離があるので、お互いの仕事ぶりはわかりづらいのは仕方のないことです。
監視カメラをつけるわけにもいきませんしね。
またその物理的な距離は、いつしか精神的な距離まで生んでしまうのが実情だったりします。
「出社比率」を増やしていく流れは、そういったリモートマネジメントへの苦戦状況を何とか打開したいという企業側の思いもあると思います。
弊社もこれまで、リモートワークの現状を継続的に調査し、成功事例の収集に努めてきました。
このコラムでもいくつかの事例を紹介してきましたが、最近とても参考になった事例をご紹介したいと思います。

アマゾンのクラウドサービス「AWS」の導入支援を手がける、サーバーワークスさんの事例です。
当該企業は10年以上にわたり、リモートワークにおけるコミュニケーションの在り方を追求してきています。
今やビジネスチャットツールの代表格Slackは、日本語版がリリースされる3年前から使いこなしているようです。
このSlackの使い方に、リモートワークマネジメントの急所があるようです。

大原則は「オープンにする」ことです。
Slackのチャットグループは原則公開(カギをかけない)し、ダイレクトメッセージ(DM)は原則禁止です。
というのも、全員出社していれば席が近い人の話は聞こえるし、通りかかったところでの話も耳に入ってくる。
そうすると、他の人(部署)がどんな仕事をしてるとか、客先案件の進捗状況は自然と伝わってくるはずだと。
当然、通りがかりの偶発的なコミュニケーションもあるわけで、そういうよくあるオフィスでのオープンなやりとりをSlackで実現しようとしています。
「関係ない人が多いから、これはDMでやりとりする」といったこともNG。
個々人のやりとりでも、公開されているチャンネルでやるそうです。

例えば、「会議に遅れそうです」とか「〇〇さん、1on1ミーティングの日程を変えてもいいですか」といったやりとりも100人以上が入っているチャンネルでやるとのこと。
一見、他の人に余計な情報を与えることで生産性が悪いような印象を受けます。
ただそこはあくまで、オープンコミュニケーションの優先順位が高いということのようです。

事実そうすることで部下の方の仕事も把握しやすいようなのです。
部内だけでなく部外とのやりとりも見えやすいので、仕事の任せ方やフォローアップの判断も素早くできるようです。
一方で全てがオープンになっていると、自分のミスや不本意な行動もガラス張りになってしまい、精神的に辛いのではないかという声もあります。
そこについては、失敗の受け止め方やその後の改善をみんなでやっていこうという風土があるとのこと。
オープンだからこそ、全社で協力していく「困ったときはお互い様」という精神が働く。
まさに「心理的安全性」がきちんと担保されていました。

リモートワークはどうしても「クローズ」になりがちなところを、「オープン」にこだわることで是正していく。
そしてリモートでありながら、リアルに近い環境を創り出していく。
そこには、当たり前になっていることをゼロベースで見直していく「斬新的な発想、視点」が必要であることを、改めて実感した今日この頃です。