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岩田 徹

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第143回 信じる

2023/09/08

W杯バスケットボールでアジア1位の座を獲得し、
来年開催されるパリ五輪への出場を決めた日本代表。
東京五輪は開催国枠としての出場で、予選を勝っての自力での五輪出場は48年ぶり。
長い期間苦しんだ分、日本バスケットボール界の喜びは大きいものでしょう。

弊社は東京都大田区に本拠を構える関係で、
地域のBリーグチームのアースフレンズ東京Zをサポートさせていただいておりますが、
スポーツ好きの私も、普段はなかなかバスケットボールを見る機会が少ないです。
ですが今回、せっかく沖縄ラウンドで日本代表が試合をするので、
テレビ観戦ではありますが、全5試合を拝見させていただきました。

渡邊雄太選手や八村塁選手など、
本場アメリカのN B Aで活躍する選手もいますが、
体格差含め、世界のトップとは壁のある状態。
五輪出場の枠を争う他のアジアの国々と比較しても紙一重。
決して楽観視できる状況で迎えたワールドカップではありませんでした。

このW杯に向けて日本代表のヘッドコーチに就任したのがトム・ホーバスさん。
まだまだ記憶に新しい、東京五輪で女子日本代表チームを銀メダルへと導いた方。
タイムアウト中の選手への熱い檄で有名な方です。
過去には日本でプレーし、女子チームの監督も経験し、東京五輪での銀メダル。
一方の男子チームは東京五輪では3連敗。
世界でなかなか勝つことのできない日本代表を大きくテコ入れすべく就任されました。

日本をよく知るトム・ホーバスさんですが、その指導は女子チームばかりだったそうで、
男子チーム就任の際はご本人も不安はあったそうです。
ですが就任後に選手個々とコミュニケーションを欠かさず、
日本人の特徴、強みを活かしたバスケットボールを志向されました。
前からの守備、前後半40分を走り切れる体力、運動量の確保、
そして得点源となるスリーポイントシュート。
数百と言われる攻撃や守備のパターンを、繰り返し繰り返し何度も練習。
日本のトップレベルの選手でさえ混乱しそうな、そんな練習をしていたそうです。
そして迎えたワールドカップ。
ホーバスさんが選手に伝えていたのは「believe」や「trust」。
自分たちを信じること。チームを信じること。

苦しい試合展開の時には、「君たちのバスケはこんなもんではないだろ?自分を信じろ!」
と激しい檄を飛ばしていました。
用意周到に準備をし、多くのシチュエーションを想定しながら、
いかに日本の強みを発揮するか。
自分たちがやってきたこと、積み重ねてきたものに自信があったのだと思います。
相手の流れになりそうなところで時間を止め、選手に自分たちの原点に立ち返らせる。
やるべきことはやってきた。だからベストを尽くそう。
そのための「信じる」という言葉だったと思います。

自分を信じて堂々とプレーし、最後まで走り続けた選手たち。
そして手にした五輪切符。
五輪までのあと1年。
ホーバスヘッドコーチと日本代表の今後に大きな期待をしたいと思います。