患者の発作や容体悪化をAIで予測するシステムが実用段階に入ったという報道がありました。
京都大学発のスタートアップ企業クアドリティクス(株)が、てんかん患者の心拍データから発作を予測するAIシステムを開発して、2025年度までに臨床試験(治験)を終え実用化を目指すとのこと。
国としても患者の生活の質向上につながるということでバックアップをしていくと書いてありました。
私の息子が小さい頃、てんかんの症状があったので(今はほぼ完治のはず)思わず記事を読み込んでしまいました。
システムの概要ですが、心臓に近い位置に装着型端末を付けて心拍を測定し、AIが心拍間隔の変化等をリアルタイムで分析します。
発作リスクが高まると患者さんのスマートフォンに通知、警告するというしくみです。
てんかんの患者さんは全国に約100万人いるといわれます。
脳の神経細胞が激しく興奮して、意識消失やけいれん等の症状が起きるのですが、現状でその発症の予測は難しいようです。
抗てんかん薬もありますが、薬が効きにくい人も一定数いらっしゃいます。
また車の運転中や機械の操作中に発作が起きると、事故につながる可能性が高くなります。(実際そのような労働災害もありました)
AIで発作のリスクが事前に分かれば、患者さんは安心して日常生活を送りやすくなりますよね。
このように、人の命を守るAIのしくみは医療機関でいろんなものが導入されています。
入院患者の転倒やベッドからの転落リスクを予測して知らせるAIシステムは、その効果が実証されています。
「コロバン」というシステムは、看護内容の記録や電子カルテの記述を機械学習で分析し、入院患者の向こう1週間の転倒リスクなどを予測します。
これにより、看護師さんはリスクの高い患者さんを注視して看護できるので、現場の業務負担を高めずに転倒や転落のリスクを抑えられるとのこと。
実際に導入した病院では、院内での転倒やベッドからの転落が約30%下がったそうです。
高齢患者が転倒すると骨折して寝たきりになる場合もあるので、効果的な防止策が求められていました。
導入している病院のスタッフの方々も、8割近い方が「今後も使用したい」と評価しているようです。
他にも、入院患者の容体が急変するリスクを判断するシステムや意識障害等が一時的に起きる「せん妄」の発生リスクを予測するシステム等、命を守るAIはここ数年で画期的な進化も遂げているようです。
ここ最近、ChatGPTの台頭があり、AIのメリット・デメリットが議論される場面も多くなりました。
私がお聞きする場面では、どちらかというとネガティブな捉え方が多いような印象です。
AIに仕事が奪われる、感情のないつまらない世の中になる、考えない人が増える等、予測が難しい将来への不安要素は多いです。
ただ先述したような「命を守るAI」という視点で考えていくと、人によっては不安やストレスを軽減できます。
人口減少による人手不足の社会を鑑みたときに「マンパワーの削減」は喫緊の課題であり、AIの進化は不可欠だと思います。
最近はスマートウォッチを使った健康管理もかなり進化しました。
装着しているだけで(一定レベルの)健康管理ができますし、早めの対策も講じることができます。
人によってバラツキのある健康管理も、AIを使って少しでも精度が上げられるなら積極的に活用すべきではないでしょうか。
いかにしてAIと共存共生するか。
今後はAIをうまく使いこなすことが、仕事もプライベートも充実させるカギになるなと再認識した今日この頃です。