前回は、対人関係のレジリエンス(2)「職場のユーモア③」として、朝礼のユーモアについてお話してきました。
今回は「職場のユーモア④」として、とっさの時にストレスを下げるユーモアを2種類ご紹介しましょう。
旅客機の副機長のユーモア
あるエアラインのパイロットが書籍で書いていたユーモアを、簡略化してご紹介しましょう。
機長になって初めてのフライトの時、副機長が機転をきかせてくれて助かったという話です。
機長として初めてのフライトで、本人は相当緊張していました。
上空で急に警報が鳴りました。
機長は瞬間的にパニック状態に陥ったそうです。
その時、アメリカ人の副機長が「警報装置テスト完了」というジョークを言ったとのことです。
その言葉で機長は、冷静さを取り戻して必要な作業を実施できたそうです。
人の命を預かる職業で、一瞬のパニック状態が大事故にもつながりかねないときに、このような極度の緊張を和らげるジョークを言えること、非常に大切だとその機長は悟ったのでした。
人間、本当にパニック状態に陥った時には自分の力ではそこから脱出できづらいものです。
旅客機は必ず複数のパイロットが搭乗して助け合うのも、こういうことも含めて考えられているのでしょう。
レストランでベテランアルバイトに救われた社員
あるレストランで、正社員として働き始めたAさんはある日曜日のランチタイム、接客に忙しく動き回っていました。
常に笑顔を忘れずにいたつもりでした。
その時に、お客様から「オーダーを取りに来るのが遅い。何やってんだ」と怒りの声が聞こえました。
急いで対応し、お客様にお詫びをするのですが、段々エスカレートしていきます。
困り果てて、言葉も出ず緊張の面持ちで突っ立っていたそうです。
そこにベテランのアルバイトBさんが笑顔で近づいてきました。
怒りをあらわにしているお客様に対して深くおじぎをして一言「お客様、大変すばらしいアドバイスをいただき、本当に有り難うございました。お客様のようにきちんと仰ってくださる方ばかりではありませせん。本当に貴重なご意見ですので、店長はもちろん本部にもすぐに申し伝え、必ず改善をします。今後ともどうか宜しくご指導いただけますよう。さっそくオーダーを取らせていただいても宜しいですか。」といって笑顔で頭を下げました。
このお客様は次の日曜日にもランチタイムにご来店されました。
ご家族ともども笑顔で1時間半ほど過ごされてから、帰りがけに「本当に美味しかった。ありがとう」と言ってお帰りになりました。
苦情を仰っているお客様に、”大変すばらしいアドバイス”と切り返すなど、少しのユーモアのセンスと、「このお客様に必ずご満足いただく」という強い信念を感じたそうです。
数年後、この正社員は店長になり、また、後輩の指導にあたるようになりましたが、このエピソードを後輩社員にも必ず伝えているのだそうです。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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