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深山 敏郎

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第96回 対人関係のレジリエンス(2)職場のユーモア③

2023/04/18

前回は、対人関係のレジリエンス(2)「職場のユーモア②」として、面白いユーモアの原則についてお話してきました。

今回は「職場のユーモア③」として、朝礼などで使いやすいユーモアをいくつかご紹介しましょう。

朝礼は上司のユーモアセンスを試される場

朝礼は最近、あまり行われていないという組織も多いと思います。
また、必要最低限の連絡事項の申し送り程度になって短時間で終わる場合も多いでしょう。
そうした中で、スタッフの集中力は高くないのが一般的です。

その理由は、
①伝える側が、短時間でものごとを伝えるトレーニングを積んでいない
②メールで回覧すればよいようなことを口頭で事務的に伝えている
③面白くない
といったことが考えられます。

そうした状況で、朝礼を活かすにはどうしたらよいのでしょうか。
それはユーモアの活用です。
ユーモアを効果的に使うことによって、参加者全員の集中力を向上できるのです。

ユーモアを鍛えることは、コミュニケーション・スキルを鍛えること

ユーモアを鍛えることは、実は日頃のコミュニケーション・スキルを鍛えることになります。
いわゆる「話のうまい人」に共通しているのは、以下のいずれかです。
①ユーモアのセンスがある人
②数字を効果的に使う人
このうち、ビジネスでは数字を効果的に使う訓練は積めるのですが、ユーモアのセンスはなかなか職場では積む機会が得られません。

ここでは、ユーモアセンスを鍛えることによって、コミュニケーション・スキルを鍛える方法をご一緒に考えましょう。

他人をディスることと、ユーモアとは異なる

前回、効果的なユーモアの原則のところでハラスメントになるユーモアを避ける必要があることはお伝えしました。
いわゆる「ディスる」こと、つまり他者を低く扱うこと、侮辱することで笑いを取ろうとすることは、ユーモアのセンスとは異なります。

「ディスる」とはそもそもdisrespect(尊敬の逆、馬鹿にする)ことです。
ヒップホップミュージックなどで使われて広まったといわれています。
自信のない人が、他人を馬鹿にすることで他者に対して優越感を持ちたいという欲求から生じたといわれています。

これをビジネスで、また、上司が部下に対して行った場合には、ユーモアどころかハラスメントと取られかねません。

ユーモアのセンスを鍛えることは、こうしたことを踏まえて他者の緊張をほどく、つまり適度なリラックスに持っていくということが前提になります。

朝礼では、仲間意識を醸成するようなユーモアが必要

朝礼で使えるようなユーモアは、仲間意識を醸成し、緊張をほどき、一方では緊張感の欠如を適度な緊張レベルにまで引き上げるものでなければいけません。

ではどういうユーモアが望ましいのでしょうか。
ここに筆者が考えたいくつかのケースがあります。
朝礼で使えそうなユーモアの例を挙げてみましょう。

(ファミレスの朝礼で)
「おはようございます。本日は、特別なお客様がご来店なさる予定です。消防署の職員の皆様です。この皆様は、非常事態の時にお客様がスムーズに逃げられるかといったことを誰よりも気になさいます。したがって、象さんやキリンさんなど大きな動物のお客様がいらっしゃる場合には、スムーズに出入口に誘導してください。りんごや人参などいくつ使ってもOKです。厨房の許可も得ています。もちろん人間のお客様も同様です」

こうしたあり得ない状況のユーモラスな話ですが、一例として誰でもがユーモアであることを理解できて、誰もディスらず、思わずくすりと笑いが漏れるような内容になっています。

(営業現場の朝礼で)
 「皆さんおはようございます。今日は月末で受注電話がいつもの倍も鳴り響くかもしれません。特別に電話回線やスタッフの数を増やしました。誰もでんわということはありません。安心して売ってきてください」

読者の皆様は、よりご自分の職場の朝礼にふさわしい例を考えてみてください。
こうした事前準備が、きっと明日の朝礼を、よりなごやかで、集中度を高めるものにすることでしょう。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

 (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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