前回の記事では『関係の質が悪い中、どんなに何をしても成果って出づらい。逆に、この関係の質をあげれば、ツールはなんであっても成果って出やすいよね』ってお話をしました。
これからの教育に必要な関わり方は、
『ありのままを受容しあって、関係の質を高めること』が大事になるのだ、と。
じゃぁ、ひどい問題社員に対して、具体的にどんな風に関わったらいいのか?
「どうせ、これから気づいてどんどんできるようになっちゃうんでしょ?」
最初から、そんな風に関わることが非常に重要。
なぜなら、人は相手の期待に応えようとする習性があるからです。
アメリカの有名な心理学の実験を例にお伝えしました。
ここすごく重要なポイントですので、前回の記事を読んでいない方はぜひ読んでから、こちらの記事に戻ってきていただければ、と思います。 それを踏まえて、今回の記事では『具体的な対話の事例』を書いてみようと思います。
<事例> 中途採用30代男性社員の高橋さん
面接ではすごく感じが良く期待し、営業企画部として採用したが、1年以上経っても、コミュニケーションがうまく取れない。
・客先での態度に難があり、顧客を怒らせてしまうことがある。
・社内での『報・連・相』もうまくできない。
・時間だけはしっかり守る。
そこで個人面談を実施することにしました。
さて、あなただったら、どのようにお話ししますか?
ここで、ちょっと考えてみてください。
こんな社員がいたとして、個人面談では、どんなふうにお話ししますか?
自分だったら「こんなふうに話すなぁ」ってこと想像してみてくださいね。
はい。
私だったら、こんなふうに伝えます。
あ、これ正解不正解ではないですよ。
あくまでも一例です。
相手によって対話は自在に変化しますからね。
例えば・・・
上司「じゃぁ、これから個人面談始めるね。いつも仕事頑張ってるみたいだね!
今日は、なんか仕事していて、困ったこととかあったら、一緒に解決できたらなぁって思って時間を作りました。なんか困っていることとかありますか?」
高橋さん「いやぁ、特にないです。」
上司「そうなんですね。上長から、いつも時間をきっちり守るって聞いているよ!時間を守ることは仕事の基本だし、当たり前のことだけれど、その当たり前のことをきちっとやっていて、素晴らしいね。これからも期待してるよ。」
高橋さん「あ、ありがとうございます。」
上司「で、髙橋さんも聞いてると思うけれどさ、先週、お客さん怒らせちゃったって話、上がってきて、一通りの報告は聞いているんだけれど、改めて、高橋さんからみて、どんな状況だったか、教えてくれるかな?」
髙橋さん「あーでこーで・・・」(それは違うだろ?というような内容も含まれているとしても)
上司「なるほど〜。そうだったんだね。じゃぁ、同じことを繰り返さないために、何ができるかな?」
髙橋さん「(・・・よく考えてから)同じことを繰り返さないために、こんなことができるかもしれません。」
上司「そうだね!じゃぁ、それ頑張ってみてね。1ヶ月後どうだったか、また教えてね。うまくいっても、いかなくて大丈夫よ。やってみてどうだったか教えてよ。」
髙橋さん「はい!わかりました!」
ちょっとだけ解説すると、面談に呼ばれた社員は「何を言われるんだろう?」とドキドキしているので、最初に「この時間は、このための時間」と定義づけてあげます。
それから、相手に質問をして、答えてくれたら、そこからどんどん対話を深めていきます。
今回は、答えないパターン(このパターンの方が多いと思ったので)。
まずは、いいところを認めて、期待していることを伝えます。
次に解決したいことを『実際にあった出来事』で対話を深めます。
この時に、本人から状況説明をしてもらって、内容がどうであれ「それに対してできることは何?」というような質問を投げます。
こちらから「こうしなさい」と指示してしまうと、やらされ感ですが、本人が考えて言葉にしたことは、自ら実践します。
さらに『うまくいっても、いかなくて大丈夫よ。やってみてどうだったか教えてね』と伝えることで、報告するために実践するので、行動レベルもアップします。
それを要約すると・・・
①ありのままを受容
②質問と発問で引き出す。それもありのまま受容して。
③自ら実践→それを支援
いかがでしょうか?
この辺、すでに『ばっちり!』っていう方もいるかもしれません。
もし・・・「つい、できていない部分を指摘して指示しちゃうんだよね」って方がいるとしたら、それは相手の成長機会を奪ってしまう関わり方なんですよね。
先ほど、心の中で思い浮かべたご自身の関わり方と比較していかがでしたか?