HACHIDORI NO HANE(ハチドリのはね)HPトップ

深山 敏郎

ホーム > 深山 敏郎 > 記事一覧 > 第91回 対人関係のレジリエンス(1)男女間のコミュニケーション②

第91回 対人関係のレジリエンス(1)男女間のコミュニケーション②

2023/03/14

前回は、対人関係のレジリエンス(1)「男女間のコミュニケーション①」として、結婚は重要な問題であり、また、婚活に必要なコミュニケーションスキルがあることをお話してきました。

今回はその続きとして、婚活にも役立つコミュニケーションのコツをご一緒に考えていきましょう。

コミュニケーションは、「マンド」と「タクト」の2種類ある

前回ご紹介したアドラー心理学の権威、岩井俊憲先生は、アメリカの心理学者・行動分析学者のバラス・スキナーが定義した2種類のコミュニケーションについて以下のように述べています。
「バラス・スキナーは、コミュニケーションのことを『言語行動』とよび、『マンド』『タクト』という2種類に分類しました。
どちらもスキナーの造語です。
『マンド』とは、ディマンド(demand)の略で、要求言語。命令・要求・依頼を伴うコミュニケーションのことです。(中略)もうひとつの『タクト』は、コンタクト(contact)の略で、報告言語、外界にあるモノや出来事にふれて、それについて記述や報告をするコミュニケーションのこと。
簡単にいうと『マンド』以外の範囲を指します。

ここまで少し学問的な話になりましたので、具体例を出しましょう。
「マンド」の例として「今日の帰り、駅前のスーパーで豚バラ肉を300グラム買ってきてね」、あるいは「今度の日曜日、子供を連れて近所の遊園地で遊ばせてきてね。この間約束したわよね」といったコミュニケーションです。
相手に何かを要求するコミュニケーションです。
相手は返事を求められています。

「タクト」の例として、「今日は風が強かったね。スギ花粉がだいぶ飛んでいたよ」、あるいは「今日ね、あなたの好きな歌手の〇〇さんがTVに生出演するんですって」など、物事の記述をしたり、報告をするコミュニケーションのことです。
岩井先生は、この「タクト」を「触れ合いのコミュニケーション」と呼んでいます。

婚活などで相手との信頼関係を結ぶには、断然「タクト」によるコミュニケーションが鍵を握っています。
「マンド」コミュニケーションや質問だけですと、相手はリラックスできずにホンネを見せづらい雰囲気で時間が過ぎてしまいます。
せっかくのコミュニケーションが、あまり楽しくない内容になってしまうでしょう。
「これに答えてください」、「はいわかりました。次は…。」といった内容でしょうか。

職場でも「マンド」と「タクト」の2種類を使い分ける

このようなことは、実は職場でも大切です。
2種類を使い分ける必要があるのです。
業務の指示などではどうしても「マンド」によるコミュニケーションが主になってきます。
仕事モードでは仕方がない面もあるでしょう。
しかし、真に人間としての信頼関係を築くには「タクト」によるコミュニケーションも含める必要があります。
例えば「オフィスの近くにある弁当屋さんが春の新メニューを始めたね」などといったコミュニケーションです。
相手はそれに反応しても良いですし、「へぇ。そうですか」などと軽くうなづくだけで、特にそれ以上の反応をしなくともよいのです。

男女間のコミュニケーションについては、この他にも脳科学や心理学からみた男女間の特性があります。
それは次回に譲りましょう。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

 (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
http://miyamacg.com/
toshiro@miyamacg.com