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岩田 徹

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第109回 コミュニケーションの質と関係の質

2023/01/13

サッカー日本代表のワールドカップでの活躍は記憶に新しいですね。
ドイツやスペインといった優勝経験国、ランキング上位国を
逆転で倒しての決勝トーナメント進出。
多くの方が一喜一憂しながら大会を楽しんだのではないでしょうか。

帰国後も多くの選手がメディアに登場し、様々なエピソードが語られています。
その中でよく耳にすることは森保監督への信頼の高さ、
そしてチームの一体感の強さです。

4年間チームを率い、高い勝率を誇る森保監督ですが、
苦戦したアジア予選を含め、厳しい批判の対象となっていました。
日本代表を率いる、というのは並大抵の重圧ではないと思います。
勝てば支援され、負ければ批判される。
そういう立場ですが、森保監督の場合は、勝っても戦術がない、
選手任せと批判され続けていたように思います。
尋常ではないストレスがかかっていたと思いますが、
ワールドカップでの結果で評価は一変。
次のワールドカップを目指す前提で2年契約での契約延長が決定しました。

多くの選手が口にするのは、森保監督への信頼。
海外のクラブや国内でもトップクラスで活躍する選手たち。
日本代表に選出されるくらいですので、技術は卓越した方々ばかりです。
意志や考えもそれぞれ強いものを持っていると思います。
そんな個性の集まりを一つのチームとしてまとめていくことは、
非常に難しいことだと思います。

森保監督はそういった集団を、一人一人とコミュニケーションを取り、
選手の考えを吸い上げつつ、自分の意向を伝えていく。
またベテラン選手と若手選手との融合にも心を配り、
見事に一体感を持って戦える集団にしていきました。

一体感や組織の雰囲気だけで勝てるほど世界は甘くありませんが、
戦術や技術だけを当てはめても通用する世界ではないと思います。
指揮官と選手との信頼関係がベースとなり、そこに戦術が乗ってくる、
そんなイメージだと思います。

4年という年月をかけて、森保監督が築いた選手との信頼関係をベースに、
次の4年でさらに戦術面でもレベルアップしていただき、
見たことのない新しい景色まで導いてくれると、一ファンとして嬉しく思います。

会社経営においても、テクニック論、マニュアル論、結果論だけが先行するのではなく、
経営陣と管理職、社員間の関係の質の向上に着目、注力していきたいところです。
信頼関係のベースがあるからこそ、様々な取り組みに挑戦できる風土もできるのだと思います。
サッカー日本代表という生きた題材から、自組織をいい方向に導けると良いですね。