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益田 和久

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第97回 民泊

2023/01/12

みなさんは「民泊(住宅を活用した宿泊サービス)」を利用されたことはありますか?
利用客の7割がインバウンド(訪日外国人客)の民泊事業が、コロナ禍によって大きなダメージを受けていることは、テレビや新聞で紹介されているのを何度も見ました。
当初民泊は個人が家を貸し出すサービスとしてスタートしていますが、マーケットが拡大してきたことで、不動産業者が民泊専用の物件を用意したり、清掃や管理を受託して事業化しているパターンも多いようです。
実際、国内の民泊は法人管理の物件が半分近くにもなるようです。
コロナ禍でインバウンドが激減したことで、利用者数はピーク時の38万人から約3万人までになったこともあったようです。
必然的に施設数も2割近く減っているようです。

そんな状況の中で、逆に施設数を2倍に伸ばしたのが栃木と和歌山です。
背景にあるのはリモートワーク関連のビジネス需要の取り込みで一例をあげると企業の合宿研修。
リモートワークにより社員間の対話が減り、チームワークの低下、個人のストレス増加が危惧されているのは何度かこのコラムで書きました。

職場改善対策の一環として合宿研修を民泊施設で実施する企業が増えているようで、栃木では別荘開発を手掛ける不動産業者が民泊事業に参入し、別荘の所有者が不在の期間に企業に貸し出すサービスを展開しています。
別荘所有者は利用料、不動産業者は仲介手数料、企業はリーズナブルな金額で利用できるトリプルWinのしくみができており、まさにコロナ禍が生み出した新たな需要といえると思います。
法人利用は着実に伸びていて、リモートワークが定着してきたことでで、合宿研修やワーケーションの需要も高まり、環境のよい別荘地が新しい働き方、新しい集いの場の選択肢になっています。
別荘所有者は年間平均100万円の収益を得られるとのこと。
これまで別荘は老後のセカンドライフの楽しみとして、60代以上の方がターゲットでしたが、民泊利用という新たな選択肢が出てきたことで、購入者層も40代や50代へと若年化していています。

和歌山ではリゾート地として有名な白浜町が、民泊施設、利用客とも2倍以上に増加しているようです。
従前より県や町が積極的にサテライトオフィスの誘致をしていることもあり、”リゾートサテライトオフィス”という概念で(通常のオフィス機能と遜色のない)ワークスペースを提供する施設も増え、提携する法人の社員の方々が定期的に民泊を利用しているようです。
観光地は平日の利用率が低いのが一般的ですが、白浜では平日でも日曜祝日と同じくらいのときもあるようです。

コロナ禍も少しずつ収束してきて、インバウンドも徐々に増えてきました。
一方でリモートワーク中心から出社比率を上げていく企業も増えてきました。
ここ数年で人や企業の動向もまた変わってくるのかなと思います。
ただ大事なことは、環境変化に伴い発生する新たなニーズやウオンツを敏感にキャッチして、素早くビジネスに展開していけるかどうか。
この感性こそが、どんな商売においても大事ではないかと思う今日この頃です。