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第4回 先に生まれた者として

2021/01/07

AIにとって代わられる?

先日、学校の先生の研修を担当していた際に、「これから先生はどういう立ち位置になると思いますか?」と質問をいただきました。社会の変化や技術の進歩によって、人を育てる“先生”という役割が大きく変わってきていることを受けての質問でした。

AI(人工知能)の発達によって既存の職の大半がなくなると言われていますが、教育分野でも生徒の誤答の傾向を分析し、適切な学習課題を提示することで効果的な学習をサポートする先生AIが登場して話題になりました。もはや教えるだけであれば人間でなくてもできる時代になってきています。

それでも僕は、子どもたちにとって先生は必要な存在だと思っています。ただし、これまでとは違った意味合いで、です。

先に生まれると書いて「先生」

知識をたくさん知っていることが賢さの指標とされた時代であれば、先に生まれていろいろな経験をしている人の方が教育者として優れているとされたでしょう。しかし、新しいものを生み出すことが求められるこれからの時代においては、後から生まれた人の方がこれまでになかった発想で世の中にアプローチできる可能性をたくさん持っています。

先に生まれて今をつくってきた大人たちと、後から生まれてこれからをつくっていく子どもたち。後から生まれたからこそ見える景色もあります。自分が持っている情報を伝えるだけの教育者ではなく、次の時代をつくっていく子どもたちに必要な力を育てられる“先生”が求められています。

そうして、教える−教えられるという単純な図式を超えたところにアクティブな学びがあります。すでに分かっていることを学ぶだけでなく、教科書の先をつくるような人を育てることを目標にすると、先生のスタンスは自ずと変わってくるのではないでしょうか。

教育を変えていくのは大人ですが、教育によって変わっていくのは子どもたちです。先に生まれた者として、子どもたちをサポートしていきたいですね。