第2回 「あれ? 伝わらない」と思ったら比較して話そう
2021/12/13
あまり一般的でない事柄を説明する際、どう伝えたらいいかわからないことはありませんか?
例えば、部下にとって未経験の業務を教える際、業務そのものだけ説明しても、あまり伝わっていないと感じたことはないでしょうか。
そこで今回は、「あれ? 伝わらない」と思った時に役立つ「比較して話す」というテクニックを紹介します。
比較して話すとは?
比較して話すとは、ある事柄だけを説明するのではなく、それに似ている事柄を持ち出してその違いを説明することをいいます。
例えば、「プレミアム冬恋はるか」というリンゴを説明する場面があったとしましょう。
その時、プレミアム冬恋はるかという事柄だけを説明しようとすると次のようになります。
「プレミアム冬恋はるかは、糖度が17度、蜜入り指数が3以上のリンゴです。値段は1個2,000円です」
普通のりんごと比べて値段が高いということは伝わりますが、なぜそこまで高いのかはよくわかりませんよね。
これを比較して話すと次のようになります。
「プレミアム冬恋はるかは、とても甘くて美味しいリンゴです。一般的なリンゴの糖度は13程度ですが、プレミアム冬恋はるかは糖度が17度。また、蜜入り指数も一般的なリンゴが1に対して、3以上です。とても甘くて美味しいリンゴですが、一般的なリンゴより生産量も少ないため、値段も高いです。一般的なりんごは1個200円ほどですが、プレミアム冬恋はるかは1個2,000円、一般的なリンゴの10倍もします。」
比べることで、説明しようとしている事柄の特徴がより際立って伝わったのではないでしょうか。
別のカテゴリで比較する
今回はプレミアム冬恋はるかと一般的なリンゴという同じ「果物」というカテゴリで説明しましたが、別のカテゴリで比較することもできます。
例えば、プレミアム冬恋はるかの食物繊維の多さを説明するために、レタスなどの野菜と比較することもできます。
同じリンゴで比較するよりも、食物繊維が多いとされている別のカテゴリのものと比較することで「プレミアム冬恋はるかは食物繊維が豊富なのだ」と印象付けることができます。
また、プレミアム冬恋はるかの質量の重さを説明するために、ペットボトル飲料と比較するのもおもしろいかもしれません。
通常、比較対象にならないようなものでも、一部の共通点があれば比較対象にはなるので、いろいろなケースで試してみましょう。
比較と比ゆの違い
比較に似た表現方法として「比ゆ」があります。
比ゆとは、ある事柄の説明を、別の物事に置き換えて説明することをいいます。
いわゆる「たとえ話」ですね。比較と比ゆ、確かに似ています。
違いとしては、置き換えるか比べるかの違いなのですが、具体的に例をあげた方がわかりやすいと思うので、下記を参考にしてみてください。
比ゆ
「相撲とは、土俵の上で力士が戦い、先に相手を転ばせるか、土俵の外に出したら勝ちとなる競技です。土俵というのはレスリングでいうリングのようなもの、力士とはレスラーのようなものです。つまり、2人の力士というレスラーが土俵というリング上で戦い、先に相手を転ばせるか、リングの外に出したら勝ちになる競技です。」
比較
「相撲とは、土俵の上で力士が戦い、先に相手を転ばせるか、土俵の外に出したら勝ちとなる競技です。レスリングに似ていますが、レスリングはレフェリーの合図で競技が始まるのに対し、相撲は力士同士の合意によって始まります。また、レスリングはスポーツですが、相撲はスポーツよりも神事として日本では認識されています。」
まとめ
以上のように、説明したい事柄があまり一般的でないもの、馴染みの薄いものである時は、そのものの特徴だけを伝えるのではなく、別のものと比較して説明することで伝わりやすくなります。
未経験の業務、まだ一般的になっていない商品、これまでにない新しいサービス。
そのものだけで説明が難しい場合は、似ているけど違う別の何かと比較して説明できないか、ぜひ考えてみてくださいね。
というわけで今回は、伝わらないと思った時こそ試していただきたい「比較して話す」を紹介しました。