第1回 話すだけじゃダメ!「話す」と「伝える」の3つの違いとは?
2021/12/06
スピーチライターの木村が、『影響力を与えるリーダーの伝え方』と題して、伝わりやすい話し方、相手がみるみる動く伝え方を紹介します。
あなたは「話す」と「伝える」の違いを意識したことはありますか?
普段はそんなことを考えず、“話すことに一生懸命”になっていないでしょうか。
実は、影響力を与える伝え方をするためには、「話す」という意識ではなく、常に「伝える」という意識が必要です。反対に、「伝える」ことがしっかりできていれば、多少「話す」のが下手でも大丈夫です。
では、「話す」と「伝える」の具体的な違いは何でしょうか。
順番にみていきましょう。
目的の違い
1つめの違いは目的の違いです。
「話す」は、日常でのおしゃべり、雑談といったように特に目的がなくても行うことができます。
一方で、「伝える」には必ず目的があります。
例えば、「なんとなく話題になっているニュースについて話す」という言葉は違和感ありませんが、「なんとなく話題になっているニュースについて伝える」という言葉には違和感があります。
「話す」は、目的がなくてもいいので「なんとなく」でもいいですが、「伝える」は目的がないと成立しないので「なんとなく」がしっくりこない。逆に「何か意図があるのでは?」と思わせてしまうわけです。
よって、「話す」は目的がなくてもいいけど、「伝える」は目的があるというのが1つめの違いです。
手段の違い
2つめの違いは手段の違いです。
「話す」ための手段は言語を使いますが、「伝える」ための手段は、非言語も使います。
例えば、「伝える」は、
・口頭で伝える
・文字で伝える
・絵に描いて伝える
・ジェスチャーで伝える
というように、言語だけでなく非言語の手段もあります。
しかし、「話す」は言語の手段しかありません。
よって「話す」と「伝える」は非言語も取り扱うのか否かといった手段の違いがあります。
主体の違い
3つめの違いは主体の違いです。
「話す」というのは自分が主体の行為です。
一方で「伝える」は相手主体の行為です。
極端な話ですが「話す」は壁に向かっていてもできる行為です。
つまり相手がいなくても成立します。
しかし「伝える」は壁に向かってはできません。
必ず話を届けるべき相手がいて成立します。
話すのが苦手という人は、伝えることより話すことに精一杯になっているケースが多いです。
どう相手に伝わるかより自分が何を話すか、どう話せば良いかばかり気にする結果、何を言えばいいのかわからないということになってしまいます。
自分が何を話すかではなく、相手がどう受け取るかを重視することで真の意味で「伝える」ができるようになります。
まとめ
以上のように「話す」と「伝える」には明確な違いがあります。
まずは両者の違いをきちんと意識することが影響力を与える伝え方の第一歩です。
目的を考え、言語以外の手段も活用し、相手を主体にする。
そのために今までの話し方をどう変えたらいいか、ぜひ考えてみてくださいね。
というわけで今回は「話す」と「伝える」の3つの違いについて紹介しました。