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岩田 徹

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第49回 期を待つ

2021/11/19

10月末に仙台で開催された全日本大学女子駅伝。
6区間中5区間で区間賞を獲得。
うち3区間は区間新記録と強さを発揮し、
見事史上2校目の5連覇を達成した名城大学。
低学年から主力として活躍する選手が毎年現れ、
まだまだ名城大学の天下が続きそうな印象です。

今大会、1区を任されたのが3年生の山本有真選手。
1年生の時から主力として活躍し区間賞を獲得。
2年生時は1区で1秒差の2位でタスキを渡した選手。
今年も区間賞獲得と、選手として順調に歩んでいるように見えますが、
昨年末、突然気持ちの糸が切れ、部活動から離れた時期があったようです。

駅伝に選ばれるメンバーは、全日本大学女子駅伝は6区間で補欠を含めて8名。
年末の富士山女子駅伝は7区間で補欠を含めて9名。
山本選手はその狭き門に1年生から選ばれてきた選手です。
上級生でメンバーに選ばれない選手も当然出てきます。
そのメンバー外の選手の頑張りと自分自身の練習を比較し、
走ることが申し訳なくなり、モチベーションが低下。
「陸上一本ではなく、女の子として普通に遊びたい。」
と監督に申し出て、陸上から離れ実家へ帰省し、
監督からの電話にも出ず、思い切り遊びを満喫。
監督は、「10年前なら許していないが、強制する陸上はしたくない。
違う世界を見て判断すれば良い。」と認めたそうです。
その後、同級生が日本代表に選ばれるなど活躍。
その姿を見て走りたいという気持ちが再燃し、2ヶ月のブランクを経て練習に復帰。
見違えるように練習に励み自己ベストを更新。
そして全日本女子駅伝で優勝への流れを作る1区区間賞。

「うまくいく可能性も失敗の可能性もあったけど、見違えるように真剣になった。」
と監督は言い、山本選手も「戻してくれて、信じて1区を任せてくれてありがとうございました。」と試合後コメントしていました。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

誰しも気持ちの浮き沈みはあるでしょう。
会社の主力メンバー、エース級人材が同様の事象に陥った時、
経営者、管理職としてどう対応しますか?
名城大学の監督のように本業を離れさせる勇気はありますか?
退部も覚悟の上で、手放したと思います。
結果復帰し、その後の猛練習による本人の成長、そして周囲への波及効果。
期待という漢字は「期を待つ」と書くと教わりました。
常日頃からのコミュニケーションで、思考や考え方を理解しているからこそ、
信じて任せることができたのでしょう。
期待する人材の期を待つには勇気も根気も必要ですね。