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益田 和久

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第36回 先入観

2021/11/11

先日、新入社員の指導員をされている方々の研修で、新人指導をしていて困ったことや苦戦してることについて意見交換をする場面がありました。

そのときに出た意見の中で「デジタルネイティブだからといって、必ずしもPCやタブレットの扱いに精通しているわけではない。WordやExcelの操作もあまり知らない。他の新入社員のレベル感はわからないが、新人ならデジタル系のことはある程度わかっているという思い込みは捨てないといけない」というものがありました。

デジタルネイティブとはあくまで「インターネットが普及し、物心ついた時からPCやスマホなどのデジタル機器に親しんでいる世代」という定義です。
このことと、PCの操作スキルやITリテラシーに精通していることは必ずしもイコールではありませんよね。以前(第23回 PC(パソコン)でできること)で「最近はPCが使えない学生さんが多い」ということについて書きましたが、最近はスマホでだいたいのことが出来てしまうので、PCを操作する機会が少ないことが要因の一つかもしれません。

デジタルネイティブのワカモノは、ネットからの情報収集やSNS上の対人関係構築、情報発信には慣れているかもしれませんが、IT系のビジネススキルは分けて考えたほうがいいかもしれません。
若者の全般的な特徴を捉えておくことは大事ですが、先入観は業務指導や人間関係の構築にマイナスの影響をもたらすことが大きいので、フラットな視点で自分で確かめていくことが大事だと思います。

そういう先入観という観点から振り返ると、先入観に影響されている場面がいくつもあるような気がします。
コロナ禍で、対面型研修をオンライン研修に移行していく課程で「うちの社員はオンラインでのコミュニケーションが苦手だ」「現場職のメンバーは日常業務でPCとか使う機会が少ないからオンライン研修には向かない」といった導入に否定的なご意見もありました。

そのようなご意見に対しては、マニュアルを提供したり、オンライン研修の体験参加の機会を設定して、まずはトライしてもらう、それから判断してもらうということを粘り強くアプローチをしてきました。
オンラインコミュニケーションは、その良さや手軽さを体感すると、必ず導入してくさることを自社で実験済みでしたので、先入観さえ取り払いすればという自信もありました。

実際に導入したお客さまでは、「オンラインでもリアルとほとんど変わらない、むしろ移動がない分こちらのほうが受講しやすい」とか「対面だと緊張して人と話せないことが多いがオンラインだと気にせず話ができる」という意見が多数寄せられ、対面推進派だったお客さまは今やオンライン推進派になりました。
その結果、出張がかなり少なくなったことで、旅好きの私としてはちょっと物足りない気もします。(苦笑)

改めて「若い世代だから」とか「昭和世代だから」といったものの見方や考え方は、部分的には必要かもしれませんが、大局的に考えると「浅い」ような気もします。
先入観があるとどうしても、新しい発想や思考をしなくなりますし、必然的にいろんな部分で行き詰まりやマンネリ化が生まれてきます。

フラットな視点で、ときにはゼロベース思考で、物事を捉えていくことの必要性を改めて感じた次第です。