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岩田 徹

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第39回 メッセージのあるパス

2021/09/10

史上初の銀メダルを獲得し、注目度が一気に上がった女子バスケットボールチーム。
200パターンとも言われるフォーメーション。

俊敏性やシュートの正確性といった日本の強みを活かすための圧倒的な練習量。
銀メダル獲得後に選手が話した、「これで練習から解放される」という言葉。
華やかな面ばかりがクローズアップされますが、
見えないところでの地道な努力が実を結んだ瞬間だったと思います。

この日本チームで注目を集めた選手が町田瑠唯選手。
準決勝のフランス戦で18アシストと、五輪記録を塗り替えた選手です。

大きな相手の間を瞬間的に切り裂くカットインのドリブル。
侵入を防ごうと体を寄せてくる相手の裏をかくノールックパス。
味方選手と連動して動き、ゴール前で相手を大きく混乱させていました。

これだけでも十分に役割を果たしていると思うのですが、
町田選手の細やかな配慮はそのパスを投げたボールそのものにもあります。

体格で劣る日本チームはどうしてもゴール下の勝負では不利になるため、
遠くからのシュート、つまりスリーポイントシュートが重要となります。

当然相手も警戒するため、
いかにマークを外し圧力を受けずにシュートできるかが大切になります。

そこで普段からのフォーメーション練習が生きてくるのですが、
もう一つ、町田選手が味方に渡すボールも、
できるだけシュートしやすいボールとなるように、
縫い目の角度まで計算してパスを出しているのだそうです。

微妙な違いですが、縫い目の指へのかかり方でボールの回転軸が変化します。
シュートしやすいボールを渡すことで決定率を高める。
そこまで計算しパスを出しているとは、
普段の練習の量だけでなく質が圧倒的に違うのだと思います。

別の競技ですが、2019年のラグビーW杯日本代表のスタンドオフの田村選手も、
相手の裏へのグラウンダーキックを蹴る際、
3〜4バウンド目で跳ねるようにキックしていました。
そうすることでトライゲッターの選手がスピードに乗った状態で跳ね上がったボールを
楽にキャッチし、そのままトライへと結び付けることができるのです。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

仕事においても社内、社外での連動があります。
それぞれ各自の持ち場で全力を尽くすことや、
仕事の受け渡し、連携は、精度を高める上で非常に重要です。

気の利いた受け渡しができる人、できない人。
受け取った相手に気持ちよくスムーズに仕事をしてもらえるか。
ほんの少しの差かもしれませんが、この差は非常に大きいです。

相手にパスを渡す際のほんの少しの気遣いで、
得られる成果に大きな差が出てくることを理解できるといいですね。