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塩崎 俊樹

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【第37回講座】モノづくりと売り方は別

2021/08/23

あるバッグメーカーA社最大の危機到来

昨年3月に全員一斉解雇をして、経営再建に乗り出しました。
今から20年ほど前まで数十億円の売上を上げていた、バッグメーカーが実質経営破綻した状態でした。
現在陣頭指揮をしている常務からお話を聴くと、バッグメーカーで一番重要なポジションは商品企画でした。
商品を沢山企画して作り、ヒット商品を生み出すことが会社の中で最も重要なミッションでした。

そこには「良いものを作ったら売れる」という考え方が社内にまん延していました。
年間数件のヒット商品が生まれることで、なんとか売上をあげて、会社を存続してきていました。

しかし、日本の人口減少や消費者の変化に合わせるように、ヒット率は下がり、売上も20年以上少しずつ下降を続けていたのです。
少しずつの売上減少でしたので、目をつぶりながら、ヒット商品にばかり目を向けていると気づいた時には、赤字でじり貧の状態にまで追い詰められていたのです。

そして、全員一斉解雇による実質経営破綻。

売り方を考えたことはなかった

新しいお客様はどのようにして増やしていくのか?
リピート購入をより効率的に増やしていくにはどうしたらいいのか?

そういった顧客の視点から売上を上げていく考え方がなかったA社では、「良いものを作ったら売れる」「売れない商品は良いものではない」といった視点で活動していた為、すべて社会やお客様任せの状態になっていたのです。

人口が増えて、内需が伸びていた1990年代前半頃までは、この営業スタイルでも大丈夫でした。
これはA社のようなバッグメーカーに限らず、メーカー、飲食店、百貨店なども同じ傾向がありました。
なぜなら需要の方が供給よりも多かったからです。

しかし、2000年代に入り、人口減少、収入の停滞、など様々な負の要因が日本中の内需に襲い掛かりました。
さらにスマホが登場し、消費者が自ら情報を調べて、モノをスマホで気軽に購入する時代になりました。
その中でお客様の買い物の考え方や思考も変化していくと共に、モノづくりだけでなく、売り方も考えていかないとモノが売れない時代になったのです。

売り方を覚えて、チームで取り組むと売上が上がる

最大の経営危機から約半年後の昨年10月。
もう一度売れるバッグ屋さんになるための販売サポートをしてほしいと依頼を頂きました。

集客の考え方、モノが売れる流れ、時代の変化などをスタッフと共に学びあい、皆で協力してSNSの運用を通じた売上アップに向けて、情報発信の活動を半年以上毎日続けてきました。

半年以上活動を続けていく中で、数字の検証を改めて行ったところ、売上が大幅上昇に繋がっていました。
次に必要な施策も見え、まだまだ伸ばせることへの自信が生まれていました。

今までモノづくりだけだったチームに「売り方」が伝わると、より強いチームになる。
これは飲食店でも同じことが言えます。大切なことは、新しい店を出すことや新商品を開発することではなく、お店や商品がどうしたら売れるのか?その原理原則を知り、原理原則に沿って、顧客の側から考え、施策に取り組んでいくことが大切ですね。

☆今日の質問☆
あなたのお店のスタッフは売り方の知識や集客の知識をどれくらい持っていますか?