大手も中小も、企業として、その「存在意義」が問われています。
もちろん、これまでも「存在意義」は求められていたのでしょうが、それには「永続的な成長・利益追求」が前提にあり、利益を追求するうえで、大事なポイントのひとつとしての「企業風土・文化」でもあったわけです。
風土や文化を企業に根付かせるには、創業者の想いを守り、伝え続ける企業もあれば、アップデートを積み重ねる企業もあります。
そんな昨今。電子部品・電子機器メーカー大手の京セラが「社風改善」に取り組んでいます。
京セラと言えば、言わずと知れた名経営者・稲盛和夫さんが60年以上前に創業し、「人として何が正しいのか」、「人は何のために生きるのか」という根本的な問いに真正面から向き合い、人間性や社会貢献を追求する独自の経営哲学「フィロソフィ」をベースに、小集団での部門別採算管理を徹底する「アメーバ経営」などの活動を推進し、「現場が主役」となり、「自発的にチャレンジする社風」を作り上げてきたことでも有名です。
その「フィロソフィ」を学ぶ「盛和塾」には国外からの信奉者も多く、2019年終了時には国内56拠点、海外48拠点、およそ15,000名の塾生を育成してきたようです。
そんな京セラでの「社風改善」の背景には「組織や事業の拡大」により「現場からチャレンジ精神が失われた」とのトップの危機感が存在しているのです。
2017年に就任した谷本社長からは「『フィロソフィは不変』だが、アプローチは時代に合わせ変えていく」とのメッセージが出され、「チャレンジする社風」を取り戻すべく、様々な施策を実行していますが、4年をかけて、ようやく「若手が意見を言える雰囲気が生まれてきた」ようです。
経営トップ自らが、企業の「存在意義」を考え続けるからこそ、組織全体でも考えられる「風土」が作られるわけですが、多くの企業において、その「存在意義」が試される時代が訪れたようですね。