前回まで、レジリエンスを高めるポジティブ思考法について考えてきました。
今回はレジリエンスの高い人の特徴(1)として、典型的な特徴とこれらの特徴を発揮したスポーツ選手について分析してみましょう。
レジリエンスの高い人の特徴とは
〇レジリエンスの高い人の特徴は5つ
レジリエンスの高い個人の特徴として、拙著「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)の中で以下の5点をご紹介しています。
(1)自己効力感
(2)感情のコントロール
(3)思い込みへの気づき
(4)楽観
(5)新しいことへのチャレンジ
(1)自己効力感とは、別の言葉で表現すると、「自信」、「自己肯定感」といった言葉があてはまります。
根本的には自分は自分の人生の主人公である。
生きていていいんだ、という自己への信頼感です。
(2)感情のコントロールとは、ストレスを感じたときでも冷静に対処できる能力ということです。
誰かに何かいやなことをされたり、言われたときに自分を見失わないということです。
結果として、過剰反応をしなくて済むのです。
(3)思い込みへの気づきは、前回のポジティブ思考法でも触れた思考法により、自分の固定観念に気づき、他の観方ができないか検討することです。
(4)楽観は、根拠がないにもかかわらず「何とかできる」と考えることです。
VUCAといわれる見通しが立たない時代にもネガティブになりすぎず、物事の良い面も観ることが出来ることです。
「VUCA」とは、前回も触れましたが
「Volatility(激動)」
「Uncertainty(不確実性)」
「Complexity(複雑性)」
「Ambiguity(不透明性)」
の頭文字ですね。
(5)新しいことへのチャレンジとは、これまでの成功体験に頼りすぎることなく、絶えず自分にとってより良い方法を試みるという姿勢です。
レジリエンスが高い北島康介さん
オリンピックにおいて金メダル4個、銀メダル1個の活躍をした、競泳元オリンピック日本代表の北島さんは東京オリンピック2020においてもメディアに多く登場するなど、活躍しています。
彼の選手時代のレジリエンスは非常にバランスが良くて、オリンピックでメダルを合計5個という結果は十分に納得できるものです。
(1)強い自己効力感と楽観
自分はやれる、という実感を絶えず持っていました。
高校3年生のときにはじめてオリンピックに出場して4位になり、「次のオリンピックでは金メダルを取る」と公言しました。
かなりのビッグマウスという意見もありましたが、実際に次のアテネ、そしてその次の北京オリンピックで平泳ぎ100メートル、200メートルで金メダルを取るのです。
何か根拠があって「金メダルを取る」と言ったのかと問われて、北島さんは「特に根拠はなかった」という趣旨のことを言っています。
自分を鼓舞する言葉だったのです。
有言実行をしてしまったのです。
(2)新しいことへのチャレンジ
ロンドンオリンピックにあたって、準備段階でこれまでコーチングをしてくれた平井伯昌コーチの下を離れて、米国のデービッド・サロさんのコーチングを受けます。
本人の言葉では、平井コーチと喧嘩をしたわけではなく、自分を進化させるために別の練習方法を模索して世界中を探した結果だったのです。
ロンドンでは、400メートルメドレーリレーで銀メダルを獲得しました。
ロンドンでは、個人としてメダルが取れなかったことには、いろいろな見方があります。
背景に、自分の最大のライバルであるダーレ・オーウェンがオリンピックの数か月前に高地トレーニングで他界したことなどを勘案すると、競泳の中でも最もメンタルな要素が強いといわれる平泳ぎの選手としては、非常に難しい状況であったことが推察されます。
そうした中でメドレーリレーでの活躍は彼の精神的な強さを物語っているとも言えるのではないでしょうか。
次回はレジリエンスの高い人の特徴についてスポーツ以外の分野、具体的にはビジネス界の人物を検討してみましょう。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
尚、上記拙著をご希望の方は以下にメールをくだされば、謹呈します。(先着10名様)その際、メールのタイトルを、書籍希望とお書きください。
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