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深山 敏郎

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第180回 困ったときの老荘だのみ エピソード80

2024/11/26

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。

コラムの179回目では、「弱は強に勝つ」を検討してきました。
老子は言います。
「弱は強に勝ち、柔は剛を制する。この道理はだれしも知っている。しかし実行できずにいる」と。

「天道はつねに善人に与(くみ)す」とは何か

今回は老子の言葉「天道はつねに善人に与(くみ)す」の意味をご一緒に考えてみましょう。

老子は言います。
「天道にはえこひいきがない。つねに徳ある者にさいわいする」と。

徳の高い人間の対人関係のコツから学ぶ

老子は対人関係のコツを徳の高い人から学べと言っているように思えます。

特に、自らが優位な時、あるいは相手を責めることが出来る立場にいる時に自制することを対人関係のコツと思っているようです。
それはいったん大きな恨みを買うと、和解をしようとどのように努力をしても、完全に元には戻りづらいからです。
したがって、最初から相手の恨みを買わないことが望ましいというのです。

カスハラに通ずる徳の低い人間の対応

ビジネスに置き換えるとどうでしょうか。
例えば接客を受けている場合、相手に少々の瑕疵があっても、怒鳴ったり、ねちねちと攻撃をしたりしてはいけないということです。
いつ立場が逆転して、相手が顧客になるかもしれません。

カスハラが行われるのは、こうした状況で自らが優位な立場にあると思うと相手を責める人は徳の低い人であり、相手の恨みを買う可能性が強いということです。
相手が強い立場になった時に、おそらく容赦せずこちらを責めてくるでしょう。

こうしたことは、職場の上司と部下の関係にも通ずるところがあります。
私たちは「徳の高い人間」に近づくべく、徳の高い人から対人関係を学びたいものです。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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