毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの176回目では、「為政者の悪」を検討してきました。 老子は言います。
「人民を愛する政治とは、作為せず自然にまかせる政治のことである」と。
今回は「兵強ければ滅び、木強ければ折る」です。
老子は言います。
「人の体は生きている間は柔らかい。だが死ねば堅くこわばる。草木は生きている間は柔らかい。だが、死ねば堅くひからびる。弱小は強大に勝つ。これが自然の法則である」と。
「兵強ければ滅び、木強ければ折る」とは何か
今回は老子の言葉「兵強ければ滅び、木強ければ折る」の意味をご一緒に考えましょう。
老子は言います。
「武力を誇る者は滅び、堅い木は折れるではないか」と。
「兵強ければ滅び、木強ければ折る」をビジネスにあてはめてみると
この言葉を私たちのビジネスにあてはめてみましょう。
「兵強ければ滅び、木強ければ折る」ということは、自然に逆らった行為や、その背景にある思考を指すのではないでしょうか。
ビジネスでは商品を開発、あるいは仕入れして、顧客に提供します。
顧客が個人の場合も、法人の場合もあります。
そうした時に、我々の思考が硬直することがあります。
「これは売れる」、「これは売れない」、「このお客様は買ってくれる」、「このお客様は買ってくれない」などです。
こうして私たちの思考・行動が硬直すると「この商品は売れっこない」、「このお客様は買ってくれるはずがない」などと考え、必要な行動をとらなくなります。
やや専門的になりますが、準拠枠という言葉があります。
私たちがものごとを判断する時に使っている無意識の枠組みのことです。
他の言い方をすると、ものごとを判断するときに私たちが持っている「色眼鏡」ということになります。
多くの「こうにちがいない」ということは、別の観方をすることによって、違う面が見えてきます。
こうしたことに気づかないと、いつものパターンで思考・行動することになります。
それでうまくいっている時には良いのですが、「あれ?ちょっと予定と違うぞ。どうしちゃったんだろう??」と思うことがあります。
そんな時に、この老子の言葉「兵強ければ滅び、木強ければ折る」を思い出してみてはいかがでしょうか。
本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。
「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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