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岩田 徹

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第26回 野球脳、サッカー脳

2021/06/11

小さい頃から野球を始め、甲子園を目指して一直線。
春夏の甲子園は欠かさず観戦。

注目の一戦はスコアブックを手に観戦し、
観戦後にスコアブックを振り返り、場面場面を思い返すのが趣味でした。

そんな私も最近はもっぱらJリーグの川崎フロンターレに魅せられ、
毎試合欠かさず見るどころか、チームが配信する練習動画も欠かさず見るほど、
サッカーの魅力に取り憑かれています。

野球一筋だった私ですが、実はサッカーの試合に1試合だけ、出場したことがあります。

左サイドバックで出場しましたが、
目の前にくるボールを何も考えずに蹴り出せ!
という指示だけ受けて、必死に蹴り出した記憶しかありません。

試合中、特にボールが目の前に来た時には、視野が狭くなり、
いつの間にか相手が目の前にいる、
という感覚に襲われるくらい余裕がありませんでした。

一つのボールを中心にゲームが繰り広げられるのは野球もサッカーも変わりません。
ですが、一つ一つのプレーに対して考える内容は大きく違うように感じます。
野球は攻めの時間と守りの時間が明確に分けられ、
どちらのチームにも平等に27のアウトを取られるまで攻撃が許されます。

1イニング3個のアウトを取られるまでに、いかに多くの点を重ねるか。
そこに時間を費やすことができます。戦略も練れます。

サッカーは90分間という時間が一定ですが、攻めと守りの時間は平等には与えられません。
ボールの保持率が高く一見攻撃機会が多いように見えても、試合結果は逆、
ということもあります。

野球は個の勝負の積み重ねに加え、一つでも先の塁の奪い合いがあります。
個の勝負に加え、その一球一球の勝負に対して常に先を予測し、
あらゆる場面を想定しながら、打球に対して判断しています。
どこに打球が飛ぶかによって守備側の次のプレーの選択肢はある程度限定されます。
打者、走者も選択肢は限られます。

サッカーにも個の勝負は多いですが、チームとしての連携、その場に応じた状況判断で、
常に流動的に判断の繰り返しがあります。
ボールと人の動きによって選択肢の幅は無数にあり、
ボールが外に出たり、ファウルで試合が止まらない限り、
常に頭をフル回転しているイメージです。
体も疲れるが、頭が疲れる、と選手がインタビューで話しているのも
なるほどな、と納得がいきます。

野球観戦は、一球一球心理を読んで答え合わせをしてみるのが面白いです。
野球は、人間心理に基づいた予測力が身につきそうです。
サッカー観戦はボールの動きだけでなく人の動きに注目してください。
誰がどこに立ち位置を取るかで相手のポジションも変わり、
結果決定的なチャンスが生まれたりします。

サッカーは、その場の状況に応じた判断力が身につくかもしれないですね。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

高度経済成長時代における工業社会においては、
監督の指示を忠実に実行する野球脳が効果を発揮していたのではないでしょうか。
答えがわからない、状況に応じて変化する現代は、
サッカー脳が求められているのかもしれません。