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高松 秀樹

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第163回:ピンチはチャンス

2024/01/27

大きな「まねきねこ」の看板が目印の「カラオケまねきねこ」ですが、北海道から沖縄まで日本各地に店舗展開し、さらには海外でも韓国、マレーシア、タイ、インドネシアの4カ国にも進出している、カラオケチェーンです。

その「カラオケまねきねこ」を運営する「コシダカホールディングス」のカラオケ事業は、2023年8月期の売上高にて「523億円」と過去最高を達成し、これまで業界トップであった「第一興商」を暫定的に抜いて業界トップクラスとなっているのです。

多くの企業がコロナ禍での制約に対して、「対症療法的な対策」に終始する中で、コロナ過は「必ず過ぎ去る」と、アフターコロナの世界を想定して、その際の布石を実施していたということですが、「コシダカHD」はコロナ禍の真っ最中で大幅赤字を計上しつつも、繁華街での出店を続け、その結果「2019年8月時点」で「4774」ほどだった「まねきねこ」の駅前・繁華街店舗のルーム数を、2023年8月期には「9411」へと倍増させることに成功していたのです。

市場が急速に縮小して、競合企業がコロナの制約による人流減少に苦しみ、繁華街からの閉店、撤退を進めている今こそ、他社、もしくは異業種に取られていた繁華街一等立地に出店する絶好のチャンスだと判断したのですが、簡単な決断ではなかったことかと思います。

大都市繁華街の一等立地は、さまざまな業界にとって利用価値が高いために、すでに誰かが使っているのが当たり前で、後発企業が新規出店することは相当なハードルがあります。

ところが、コロナ禍は繁華街から一時的に人の流れを奪ったため、これに耐えられなくなった事業者が店舗を手放すという「千載一遇のチャンス」が訪れたということでしょうが、現状を見る限りでは、素晴らしい決断であったことが証明されています。

ピンチをチャンスととらえた戦略については、体力があり、余裕ある大手組織がとれる「常套手段」とも言われそうですが、「食べ物・飲み物の持ち込み自由」や「全室完全禁煙」など、業界の先駆けとなった独自のサービスなど「顧客満足を追求」している姿勢も「成長要因」なのかと感じるのです。