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高松 秀樹

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第162回:採用氷河期のスタートライン

2024/01/20

「就職氷河期」なる言葉が存在したのは遥か昔。

「採用氷河期」の現在は、企業による「人材獲得競争」が相当に加熱しており、大手各社が次々と「賃金引き上げ策」を実施・検討している状況です。

金融業界に目を向けますと、「野村証券」が24年度の初任給を24万5000円から26万5000円に引き上げる方針。
23年に13年ぶりの初任給引き上げを決めた「三菱UFJ銀行」は25万5000円で、「三井住友銀行」も同程度の様子。

そんな中、「第一生命ホールディングス」が、2024年4月入社の新入社員に対する初任給を現在の27万6000円から「32万1000円」に引き上げる方針を検討していることがわかりました。

大卒で転居を伴う転勤がある内勤職が対象で、引き上げ率は16%。
労組との交渉を経て正式決定するとのことですが、厚生労働省の調査によると22年の一般労働者の月額給与の平均は31万1800円(年齢43.7歳、勤続年数12.3年)で、入社と同時に国内平均も上回る突出した「最高水準」になるようです。

人材獲得競争が激しさを増す中、優秀人材の確保や定着につなげることに各社必死ですが、初任給の引き上げ後に問われるのは、「各社で働く理由、魅力づくり」なのではないでしょうか。

賃金の引き上げは、もはや「差別化」ではなく、「スタートライン」なのかもしれません。