駒澤大学一強と言われた今年の箱根駅伝。
出雲駅伝、全日本での駒澤大学の圧勝。
各選手の10,000メートルでの持ちタイム。
箱根駅伝の経験値。そして選手層の厚さ。
様々な情報を見て総合的に判断しても、駒澤大学の優位は揺るぎないものでした。
その駒澤大学を力で圧倒し、10時間41分というとてつもない記録で
優勝した青山学院大学を今回は褒め称えるべきでしょう。
青山学院大学の選手たちが試合後のアンケートで答えた勝因。
12人の選手やマネージャーが回答し、うち9人が答えた内容は「仲の良さ」。
確かに雰囲気の良さは何となく感じますが、
仲が良いことだけで勝てるほど大学駅伝は優しくないと思います。
もちろん、仲の良さの裏側にある日々の練習量や質。
箱根駅伝に向けてのピークの合わせ方など、様々な要因が絡み合っているとは思いますが、
強い組織を作る上で参考になると思い、
選手のインタビューやニュース記事などを読み漁りました。
選手たちが言う仲の良さは、単なる和気藹々と仲良くやる、という意味ではありません。
厳しいことも学年を超えて意見する。
仲間からの注告、アドバイスを真摯に受け止めて行動を改善する。
仲良しクラブではなく、そこには勝負の厳しさを前提としたライバル関係をベースに、
お互いが切磋琢磨して成長し合える関係性の構築があったと思います。
またチーム力を高めながらも個人の成長を促す仕組みが、
随所に散りばめられていると感じました。
例えば監督からの指示も全員に一律伝達する、というものだけではなく、
少数のグループリーダーに監督が指示し、
グループリーダーからグループへと伝達し、伝達内容について議論する。
個々人が自分なりの考えを持って競技に取り組み力をつけながら、
チームに足りないもの、チーム力を高めるものに対しても考え、意見し、さらに議論する。
こうした日々の積み重ねで、選手個々が自ら考え、努力し、力をつけながら、
チーム全体の力を底上げする。
選手個々の力を高めつつ、チーム力は足し算ではなく掛け算となるように
コミュニケーションを促進する仕掛けを埋め込む。
非常に理に適ったチーム力を高める仕掛けがあったと思います。
1の力を持つ人が、0.1力を付けて1.1の力を得たとします。
10人のチームだとして、足し算だと10から11にチーム力は向上します。
ですが、これが掛け算になると、10だった力がおおよそ26となり、
チーム力は倍増することになります。
青山学院大学の選手たちはまさに掛け算の成長を遂げたのだと思います。
そのベースとしての仲の良さを選手たちが取り上げたのでしょう。
組織力強化に悩む会社、組織でも参考にしたい今年の箱根駅伝でした。