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益田 和久

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第124回 匿名

2023/07/20

Twitterの仕様変更が進み、一部のユーザーが使いづらくなったことで、避難先としてメタが開発したThreads。
1週間も経たないうちに登録者が1億人を突破しました。
イーロンマスク体制におけるTwitter社の動向を鑑みての「避難先」確保でしょうが、これほどまでに多くの人が登録するとは想定以上でした。

ThreadsとTwitterの大きな違いは、アプリ上でアカウント作成ができないことです。
Threadsを利用するにはInstagramのアカウントが必要となっており、Twitterのようにいくつもアカウントを作れるわけではなく、InstagramのアカウントがあってThreadsに紐づけられる仕様になっています。
また機能面でも、Twitter投稿の文字数制限は基本的に(無料アカウントだと)140文字ですが、Threadsでは一度に500文字まで投稿可能です。
1投稿で投稿できる画像の枚数はTwitterが4枚までですが、Threadsが10枚まで可能。 
動画投稿の時間制限については、Twitterは140秒まで、Threadsが5分までです。
Instagramのアカウントに紐付いているので、フォロワーも引き継ぐことができ、使用開始から他者との交流も可能です。
メタも十二分に研究した上でリリースしているので、Twitterよりもお得感や使い勝手がいいようにみせてますよね。

私はFacebookやInstagramは更新していますが、あまりTwitterは見るだけになっています。
いろんな情報がリアルタイムで入ってきますし、著名人ともダイレクトにやりとりできるのは、魅力的なツールだなと思います。
ただ「匿名」でやりとりしていることがあまり好きではないので、自分からはあまり発信しないようにしています。(ちなみに会社Twitterは最新情報や日経記事の所感を掲載しています)
Twitterのタイムラインをみると、目を覆いたくなるような誹謗中傷や罵詈雑言が書かれています。
明らかなデマやウソもよく見かけます。
警告や通報されたらすぐにアカウントを削除してしまい、何事もなかったかのようにまた次の誹謗中傷や罵詈雑言が繰り返されます。

つい最近もある芸能人が自殺をして、その背景としてTwitter上での誹謗中傷や罵詈雑言が問題になりました。
この後、警察がどう動くのか、また司法がどう判断するのかはわかりませんが、今後もこのようなことは延々と繰り返されるような気がします。
どこかで、歯止めになるような法律やしくみのようなものができればいいですが、最終的にはユーザーのマナーやリテラシー、ひいては人間性による部分が大きいかと思います。

ただ、匿名そのものを全て否定するつもりもありません。
匿名だからこそ、声なき声を拾えることも確かです。
名もなき方の一言から社会に変化や影響をもたらすこともあります。
様々な制約やしがらみの中で生活していて、匿名でないと発信できない人もいらっしゃるので、匿名での発信は守っていくべきなのかと思います。
ただ現状は、匿名での発信がよくない使われ方をしているのが多くて、ストレス社会の根源の一つになっているのも事実です。

ここ10年で急速に発展・拡大してきたオンライン(デジタル)コミュニケーション。
言論や思想の自由のもと、各人の自己表現・自己主張を全世界に発信できるのはとても素晴らしいことです。
ただそこには、応分の自己責任と周囲への配慮が不可欠であることは最低限の常識だと思います。
オンラインに携わる者として、自分の影響を与えられる範囲から、自己表現と自己責任が背中合わせであることを再度啓蒙していきたいと思った今日この頃です。