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益田 和久

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第116回 何でもスマホ完結でいいのか

2023/05/25

定期的に歯医者に通っていますが、先日行ったときにマイナンバーの受付機器が置いてありました。
マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになりましたが、現時点では対応できる医療機関が限られています。
その日はマイナンバーカードを持っていなかったので利用はできませんでしたが、受付機器がおいてあるだけで先進的なイメージを受けました。
ただし治療費の支払いは現金でしたので、歯科医院のスタッフの方に「支払はアナログなんですね」と言うと苦笑されていました。

そのマイナンバーカードですが、この5月からスマホに搭載できるようになりました。
厳密に言うと、マイナンバーカードと同等の機能を持つスマホアプリのダウンロードサービス「スマホ用電子証明書搭載サービス」が開始されました。
これにより、これまでマイナンバーカードを使って利用していた様々なサービスの利用や申し込みが、スマホだけでできるようになりました。Androidが先行して開始されましたが、iOSも順次サービスが始まるようです。(現時点では)それほど使うことのないマイナンバーカードを持ち歩くのも面倒ですしね。
ただ今後は保険証だけに限らず利用範囲も増えてくるでしょうから、スマホに搭載できるのは歓迎すべきことだと思います。
運転免許証もスマホに搭載できないかなとずっと思っているのですが、これは少し時間がかかりそうな気がします。

今回感じることは、全てのことがスマホ1つで完結できるような流れになってきているなということ。
買い物も食事も交通機関も、全てスマホで決済できます。
調べたいことがあればスマホで大抵のことが調べられます。
音楽を聴くのも、映画も見るのも、本を読むのも全てがスマホで出来てしまう。
他人と一切コミュニケーションをとらなくても、スマホがあれば生活はできます。

先日ファミレスに行きましたら、注文はタッチパネル、食事の配膳はロボット、支払はバーコードリーダーと、人と一言も話すことなく全てを終えました(会計のときに一応レジに従業員さんはいました)。
外出時に資料修正やオンライン会議のために利用するネットカフェの場合は、一切従業員さんと接することはありません。
人手不足もありこの流れはどんどん加速していますが、合理化や効率化が進む一方で、人間同士の交流が失われているような気もしています。

私は信用金庫に勤務しているときに、上司から「タバコやジュースを自動販売機で買うな、対面で買え」と言われていました。
買い物のついでに商店主と会話を交わし、少しでも距離を縮めろという意図があったのだと思います。
実際にそのことで商店主からお仕事もいただきましたし、人間的な交流も深めることができ、いろんなことも学ばせていただきました。
これは若手社員時代の自分の財産だと思っています。

デジタル化が進み、人と会話をしなくてもスマホさえあればある程度のことが成り立つ現在。
慌ただしい毎日を過ごしていくには合理的なのかもしれませんが、考えることや感じること、悩むことといった、本来人間の感性を磨く大事な行為を奪っているのではないかとふと感じてしまう今日この頃です。