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岩田 徹

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第124回 育成者を育てる

2023/04/28

風間八宏さん。
現在のサッカー界において独特の視点、指導方法が注目されている方です。
かつて川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を務め、
両チームで見事なパスサッカー、攻撃的なサッカーを披露しました。
川崎フロンターレは今ではJリーグの強豪チームとなっています。

その風間さんは現在、セレッソ大阪の下部組織で技術委員長を務め、
指導者を育成する立場で活躍されています。
風間さんが直接選手を指導すれば技術が上がったり、
チームの戦術レベルが上がったりするのはすでに多くのチームで実証済み。
ですが、指導できるチームや選手の数には限界があるため、
今は指導者を育成する立場で活動し、次世代の育成者、選手たちを輩出しています。

風間さんで有名なのは「止める」「蹴る」。
ボールを止めて、蹴る、という一見地味な練習ですが、非常に奥が深いです。
止めるの技術が上がればそれだけ次のプレーの選択肢が増えます。
0コンマ数秒の違いですが、その数秒の間に敵味方の動きが変わり、
ボールを止めることができないと相手に寄せられ、プレーの選択肢が減ります。
また蹴るでは、味方選手のどの位置に蹴るのか、
動きがある中で味方選手が次のプレーの選択をしやすい位置にパスを出します。
無駄な時間が排除されることで相手を混乱させゴールに直結させます。
こうした技術の一つ一つを言葉で定義づけし、選手に指導してきたのが風間さん。
そして今、その指導を指導者にしており、実際にユース年代、ジュニアユース年代では、
セレッソ大阪の選手たちが代表に選出されるなど、早くも成果が出ています。

風間さんの以前のインタビューで、
「先端と言われるヨーロッパサッカーを模倣するつもりはさらさらない。
模倣した段階ですでに古くなっている。日本初の考えを生み出してチャレンジすべき。
ヨーロッパのトップチームにいかに勝つかを想定しながら指導している。」
とおっしゃられていたのが印象的でした。

昨年盛り上がったカタールW杯でも、風間さんのイズムを吸収した選手が活躍しました。
日本がヨーロッパのトップの国々を破り、W杯で頂点を取ったり、
Jリーグのチームが世界の競合と堂々と渡り合う未来があると楽しいですね。

できる社員を育てることができる育成者を生み出し、
盤石な企業経営ができると理想ですが、現実はなかなかそうはいきません。
ですが、風間さんをはじめ、スポーツの世界での選手育成、
育成者の育成を経営に持ち込めないか。
考える価値は大いにありますね。