「スーパー女子高生あらわる!」
2013年6月と随分前の記事にはなりますが、大きな印象が残った記事です。
同年6月に開催された定時制通信制高校の軟式野球大会の神奈川県大会の決勝戦に、
当時定時制の4年生だった83歳の上中別府チエさんが
背番号12でベンチ入りしたのでした。
上中別府さんは鹿児島県出身で地元の尋常小学校を卒業されましたが、
戦時中でもあり、満足に勉強をする時間がありませんでした。
2人のお子様、お孫さんが5人、ひ孫が4人がいらっしゃいますが、
お子様に勉強を教えてあげることができなかった、という思いもあったそうです。
ですが、76歳の時に英語の勉強がしたいと区役所に相談。
夜間学級に3年間通い、もっと勉強したいと2010年に高校へ入学。
一生懸命勉強する一方で、担任の先生が顧問を務める軟式野球部に、
手作りのパンやお菓子などを差し入れていたところ、
顧問の先生からスカウトされ野球部員となりました。
部活は週3日、夜の9時から1時間弱。
最初は玉拾いなどの手伝いからスタートしたそうですが、
そのうちキャッチボールやノックを受けたりして、面白くなっていったそうです。
野球部員からは「チエさん」と呼ばれ、ムードメーカー的な存在で慕われていただけでなく、
「できることは年齢のおかげ。できないことは年齢のせいにしない。」
という考えで取り組まれていて、チエさんの考えや姿勢に刺激を受けた
不登校だったピッチャー、落ちこぼれだったキャプテンも成長していきました。
そして、チーム一丸となってたどり着いた決勝戦。
1点リードされた直後の6回のピンチの場面。
ベンチから伝令でマウンドまで全力疾走で向かったのがチエさんでした。
「落ち着いて。がんばれ!」
エースのお尻を叩きながら短いメッセージを伝えると、選手には笑顔がこぼれました。
決勝では敗れましたが堂々の準優勝。
部員たちと共に首には銀メダルが輝いていました。
幾つになってもチャレンジできる。年齢を言い訳にしない。
やりたいと思う気持ちを大事にし、全力で取り組む。
目の前のことが当たり前になっているが、当たり前がどれだけありがたいことか、
それを伝えたかった、というチエさんの言葉から、多くの学びが得られますね。