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深山 敏郎

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第80回 職場チームのレジリエンス(7)オープンなコミュニケーション

2022/12/27

前回は、「チームの相乗効果」についてお話してきました。

今回は「オープンなコミュニケーション」というテーマでお話をします。

オープンなコミュニケーションはなぜ必要か

職場では「オープンなコミュニケーションが望ましい」とよくいわれます。
しかし、それはなぜかと問われて説明が出来る人がどれだけいるでしょうか。

単純なタスク(仕事の最小単位と考えておいてください)をこなすには、特にオープンなコミュニケーションが必要とまではいえません。
上意下達で指示を与え、それを忠実に実行するという職場です。
工場で生産をする、荷物を決められた時刻に決められた場所に配送するなどの内、単純作業がそうでしょうか。
いわば産業構造でいえば米国でT型フォードを生産していた時代など分業が進んだ第2次産業的な職場で、それも設計や企画ではなく、生産ラインの定常業務がイメージできます。
その場合、上意下達がもっとも効率が良いのです。

これに対して、複雑なタスクの実行においては多様な人々とコミュニケーションを繰り返し、そのコミュニケーション内容をチーム内でいわば資源として共有することが望まれます。
それが効率が良いのです。
例えば、千差万別のゲストをお迎えするホテルやレストラン、あるいは工場でトラブルが発生して解決をしなければならないといった時です。

こうした複雑なタスクを実行するには、前回「相乗効果」のコラムでも書きましたようにチーム内のさまざまなリソースを活用して組み合わせることが必要です。
問題解決やいわゆる創造的な業務がこれにあたります。

複雑で絶えず変化する環境でのチーム内コミュニケーション

こうした複雑な業務というのは、実は現代のビジネス(ここでは生産現場なども含む)において比率が高くなっています。
VUCAの時代つまり、変化の幅が大きく、不確実で、複雑で、曖昧な時代においてはこれまで定常業務と思ってルール通りに実施してきたタスクも、もしかしたら抜本的に見直す必要があるかもしれません。

例えば、ホテルのフロント業務において対人的なコミュニケーションが必須と考えられていた時代がありました。
ホスピタリティの発揮が必要です。
しかし、例えば海外のハイアット・ホテルなどの高級ホテルにおいても数十年前から、誰にも会わずにチェックイン及びチェックアウトが出来るファシリティ(ホテルの建物)の実験が行われて来ました。
結果として、対面が必須ではない、と考えるホテルでは、クレジットカードや予約のIDなどがあればチェックインやチェックアウトが出来て、時間も短時間で済むといったケースも一般的になりつつあります。

現在では、多少の人的なヘルプが必要でしょうが、これまで人がやっていた業務は機械が行う時代になりつつあります。
今後、例えばセキュリティチェックなどもAI(人工知能)や高度なセンサーなどを活用することで人的なサービスに替わって行うことが普通になることでしょう。

では人間はどうするのか

では、私たち人間はどうすれば良いのでしょうか。
定型業務をAIやロボットなどにある程度以上任せられれば人間は、より複雑な業務に集中することができます。
例えば、「従業員の幸福度を向上するにはどのようなことが必要か」、「お客様に更に喜んでいただくサービスとはどのようなものか」、「ヒューマン・エラーによる事故を防止するにはどうするか」といった内容です。

そのためには、よりオープンなコミュニケーションを日ごろから心掛ける必要があると筆者は痛感しています。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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