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岩田 徹

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第226回 切磋琢磨

2025/04/18

先週に続き高校野球の話題から。
高校年代での怪我防止のための施策として、
投手は1週間に500球以内、とルールが定められています。
2020年からテスト施行され、4年間の検証結果を経て正式ルールとなりました。

昔はチームの絶対的エースが全ての試合を完投し、
どれだけ体力が消耗しても最後までマウンドを降りないのが美徳で、
絶対的エースを擁して優勝を果たすケースが多かったです。
ですが、高校年代での投球過多が原因となり、肩や肘を故障し、
その後の野球人生が変わった方もいます。
また、記憶に新しいところでは、秋田県の金足農業高校の吉田輝星投手。
金農旋風と言われ、夏の甲子園で決勝戦まで勝ち上がりました。
さすがに暑さの中の連投で、決勝戦ではキレを欠き、
春夏連覇を果たした大阪桐蔭高校の猛打の前に敗退しました。
短期間で勝敗が決する全国大会ではなく、
十分な休養期間を設けて、コンディションの良い状態の吉田投手と、
王者大阪桐蔭との対戦を個人的には見てみたかった気持ちがあります。

先日開催されたセンバツ大会では、上位に進出したチームは
中心となる投手がいながらも、ハイレベルな複数人の投手が登板していました。
優勝した横浜高校も全ての試合で継投を実施。
背番号10の投手から背番号1への継投が主たる策でしたが、
攻め込まれた時は状況に合わせて他の投手も投入し、失点を防いでいました。
今の時代、絶対的エース一人に頼るのではなく、複数のタイプの違う投手を
擁するチームでないと、夏の暑さもあり勝ち残れなくなっています。
この流れとともに、チーム内の競争にも変化が出ているようです。
以前はエースを目指して、ライバルを蹴落としてでも自分が1番を目指す、
という意識になりがちでしたが、
今は複数投手の擁立が不可欠なこともあり、お互いにスキルを上げようと、
切磋琢磨する時代になっているようです。
当然複数投手の中で序列はできますが、3番手、4番手投手の台頭が必要な時代。
お互いの技術を惜しげもなく教え合い、お互いに成長し、
誰が投げても試合に勝てるように挑む。
絶対的エースの存在で投球機会が少なかった昔と比べ、
多くの投手が投球機会を与えられ、実戦で力をつけていく。
チームの勝利を目指して切磋琢磨できる環境、風土は素晴らしいと思います。

会社、職場においても、絶対的エースにおんぶに抱っこではなく、
複数のハイレベルな社員を育成することで組織力が向上します。
一人の人間に頼りすぎていると、離職リスクも伴います。
互いに磨き合う風土づくりも大切ですが、
投球制限のような仕掛け、仕組みを検討するのも良いですね。