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長谷川 満

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第196回 人材採用は退職する時のことを考えて設計せよ

2024/09/11

採用活動を行う際、
多くの企業は
「即戦力」「スキルの合致」「文化へのフィット」
といった短期的な視点で候補者を評価します。


しかし、人材の採用は
その瞬間だけで終わるものではなく、
中長期的な視点で設計することが重要です。


特に「退職する時」を意識して
採用プロセスを見直すことが、
企業と社員双方にとって
価値のある成果をもたらします。


◆採用時に退職を見据える理由

なぜ、採用の時点で
退職を考慮すべきなのでしょうか?

それは、どんなに優秀な人材でも、
いずれは退職する日が訪れるからです。

企業のビジネスモデルや
成長フェーズによっては、
人材のターンオーバーが
避けられない状況もあります。

そのため、採用から退職までを
一貫して考えることで、
離職がもたらすリスクを
最小限に抑えつつ、
長期的な成功を
手に入れることができるのです。


◆退職を意識した採用設計のポイント

1. キャリアパスと育成プランの提供

採用時に、
将来のキャリアパスや育成プランを
明確に示すことが重要です。

従業員は、自分の成長が
組織の中でどう位置付けられるかを
理解することで、
モチベーションを高めます。

また、企業側もその人材が
どのタイミングで次のステージに進むか、
あるいは組織を離れる可能性があるかを
予測しやすくなります。

退職が突然の出来事ではなく、
計画的に行えるようにすることがポイントです。


2. 組織全体での知識共有とドキュメンテーション

退職時に問題となるのは、
属人的な業務や知識の欠如です。

採用時から、
個人に依存せずチームで知識を共有する文化を
育てることが求められます。

適切なドキュメンテーションと、
組織全体での知識の伝承プロセスが
構築されていれば、
退職が組織に与えるダメージを軽減できます。


3. 退職時のサポートと円満退職の推奨

採用時に、退職時のサポート体制や、
円満退職を奨励する方針を伝えることは、
社員との信頼関係を強化します。

社員が退職する際に、
組織からの手厚いサポートがあれば、
退職後も良好な関係を保ちやすく、
リファラル採用などの形で
再び貢献してもらえる可能性が高まります。

また、円満退職を推奨することで、
次のステップへの
ポジティブな移行が可能となり、
結果的に企業の評判向上にも寄与します。


◆退職を見据えた採用のメリット

退職を意識した採用を行うことで、
企業には多くのメリットが生まれます。

まず、組織は予測可能な人材の離職に対処しやすくなり、
事業継続のリスクを減らせます。

また、採用した人材が
会社に対して前向きなイメージを
持ち続けることで、
社外での評判を高め、
将来的な採用活動にも
良い影響を与えるでしょう。

さらに、円満退職を促進することで、
元社員からのフィードバックや
ネットワークの活用が可能となり、
ビジネス拡大のチャンスを得られます。

中長期的な視点での採用設計は、
企業の持続的成長に不可欠な要素です。


◆結論
「退職する時」を意識した採用は、
単なる短期的な戦力補強ではなく、
組織全体の成長を見据えた戦略的な選択です。


人材が組織を去ることを前提に
採用・育成を行うことで、
持続可能な成長と社員の満足度向上を
両立させることができます。


人材採用は退職の瞬間をも含めた、
長いストーリーの一部であることを認識し、
採用設計を行いましょう。