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伊藤 洋

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第19回 東北の服づくり

2021/08/23

皆さん、こんにちは。前回までコミュニケーションやマスメディアの話しをさせてもらいましたが、今日は東北の「モノづくり」それもアパレル製品の製造をしている企業さんのお話しをしようと思います。

ご存知の通り私の住んでいる宮城県含め福島、岩手は10年前の震災で津波被害に遭いました。
その時に思ったのが「服の力」についてです。
服って人にどんな力を与えられるのだろう?どうして人は服を来るんだろう?
それも自分の好みの服を選んで。。
ということを真面目に考えました。

当時、ファッションの専門学校で働いていた僕としてはこれは重要な課題でもありました。

東北地方には、ものすごくスキルの高い縫製事業者や紡績企業、染色業の企業や個人がたくさんあります。

ここにいくつかご紹介します。
まず、宮城県気仙沼市にある「オイカワデニム」

ここはリーバイス社の501というデニムの100年前のデニム生地を使った同社のリーバイス501復刻版を生産しています。
リーバイス社で生産ではなく、気仙沼の小さいデニム工場が生産していたんです。
オイカワデニムは震災で被災した後、気仙沼で水揚げされたカジキマグロの角を糸に加工し、生地に編み上げ、ジーンズを作ったしています。

及川氏に「何でそんなことするの?」と聞くと、「だって同じ気仙沼で漁師さんが捨てるものを買い取って製品化すれば、漁師さんの売上に繋がるから」と。
同社では自社ブランド「S T U D I O零」というブランドを展開しています。

もう一つは山形県南陽市にある「宮城興業」
こちらはシューズメーカーです。
ですが、基本歴にはOEMではなく、オーダーがメイン。それと自社ブランドで勝負しています。
なぜ、OEMではないのかというところがポイントです。

現社長の高橋和義社長に聞くと
「以前は受注してメーカーさんの靴を生産していたんだよね。それでも何回か倒産の危機に遭って、もうダメだ!と思った4階目の危機の時にある大手ブランドにお願いに行って、何とか受注できて助かった。そしてうちで作ったその靴が大ヒットしたんだよね。そしたらメーカーさんから呼ばれたんだ。あ、これは表彰でもされるのかと思って嬉々として向かったんだ。いざ面会したらお前の会社、今回のうちからの受注で儲かったんだから、2割安くしろ!って言われたんだ。もうプチッと切れたね。その場でこういっちゃんだ。今後一切御社の靴は作りません!って。
後から、いや〜ヤバイことになったと思ったよ。で、大量に作って安く値切られるんだったらやればやるだけ赤字になる。だったら真逆に行くしかない!って思って1足だけを作るオーダーにしたんだ。」

ここの靴、僕もオーダーで作ってもらって履いてますが、本当に誰が履いてもすぐ履き心地の違いがわかる素晴らしい靴です。

今回は2社をご紹介しましたが、この2社の共通点が分かりますか?

そうです、OEMに頼っていないことです。
自社の技術を自社のブランドを作って販売していることです。
それと、価格で競争しないことです。