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益田 和久

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第40回 つぶやき

2021/12/09

仕事でもプライベートでも、今やチャットツールがコミュニケーションの中心になっていることは以前(第6回「チャットツールを使いこなす」)投稿しました。
企業団体向けに当該サービスを提供している各社は、新機能の付加や外部サービスとの連携等で、現在の「新しい働き方」にアジャストしようとしているのを日々感じております。
チャットツールの導入状況はその企業、団体により様々ですが、話を聞く限りでは「運用面」で様々な問題を抱えていらっしゃるのを感じます。

基本的な操作方法やトラブルシューティングなどは、時間の経過とともにリテラシーが上がってくるので、積極的な活用を推進することが重要だそうです。
この手の社内システム的なものは、みんなで使わないとその効果が体感できませんし、使っていくうちに自然とみんなが覚えて、「当たり前の社内ツール」として定着していくものです。
その定着させていく過程で気を付けなければいけないのが運用上のルールではないでしょうか。
特にチャットツールは、気軽に手早くメッセージを送信することができることもあり、人によっては使い方(捉え方)を勘違いしてしまう人もいるようです。
企業研修のときに、社内チャットツールの活用の際、ストレスを抱えているというご意見を度々伺います。

最近お話を聞いていて一番印象に残ったのは「上司のつぶやき」チャットグループのタイムライン上で、唐突感のあるまたは意図背景がわかりにくいつぶやきをする上司やベテラン社員がいらっしゃるそうです。
例えば「最近緊張感がないな」とか「マンネリ化ってまずいな」というようなものです。
そのようなことを意味するような事象が続いていて、グループ内のメンバーも同様に認識していればいいのでしょうが、思いつきで言われると部下は戸惑いますね。
どのことを言っているのか、何が言いたいのか、どういう姿を望んでいるのか、つぶやかれたほうはその意味を懸命に考えます。
好き嫌いに関わらず、上司の意図を汲もうとする、求めているものを理解するというのが、部下の自然な反応でしょう。
Twitterが出始めたとき、政治家の方や企業トップの方が同じようなつぶやきをして、周りの方があたふたするケースを思い出しました。
つぶやくほうからすると、自分の正直な思いを、タイムリーに自然な表現で発信したつもりなのでしょう。

ただ、コミュニケーションには「何を言ったかではなく、どう伝わったか」という大原則があります。
コミュニケーションの主体はあくまでも相手側にあります。
「以心伝心」とは、日頃から密にコミュニケーションがとれていて、一定の方向に対して思いを共有している間柄であるから成立すると思います。
またプライベートのチャットツールでは、何かしらつぶやくと、いいね!やどうしたの?と関心を持ってくる人はいますが、仕事のコミュニケーションは都合良くいかないはずです。
手軽に発信できるのがチャットツールの良さではありますが、少なくともどういった目的でそのメッセージを発信しているのかは、わかるようにしておくべきかと思います。
先程の事例だと「ここのところケアレスミスが目立ち、緊張感のなさが見られます。気を付けましょう」「勉強会の参加者が減ってるね。マンネリ化しているのかな。何か良いアイデアをください」というように、背景と何を求めていることがわかると、相手も反応がしやすいと思います。
コミュニケーションは双方向の流れがあってこそ成立するものであり、仕事をスムーズに進めるためには、そのことを強く意識する必要があると思います。

ビジネスにおいて自らの考えを発信することは重要な行為です。
ただ、それがどのように受け止められて、どのような影響を与えるのか。
特に管理職や職場リーダーの方は気を付けなければならないと、改めて感じた今日この頃でした。