回転ずし大手のスシローが2026年10月、米国1号店をニューヨークのタイムズスクエアにオープンします。
地下1階から地上2階までの3フロア、約150席を備えた大型店です。
気になる価格は、マグロやサーモンが一皿2貫で5ドル。日本円にして、約800円から。
一皿800円!!
日本のスシローを知る私たちにとっては、なかなか驚きの価格です。
しかし、円に換算した金額だけで「高い」と判断するのは、少し早いかもしれません。
ニューヨークでは、一風堂のラーメンが一杯22~24ドルほど、一蘭も23ドルほどで提供されています。大戸屋の定食も20ドルを超えるものが中心です。
ラーメン一杯が、スシローの4皿ほどに相当すると考えれば、一皿5ドルは、現地の外食相場の中で、決して驚くほど高い価格ではありません。
しかも、新店舗は“チップ不要”。
通常であれば15~20%ほど加わるチップが必要ないと発表されると、現地の会場からは大きな歓声が上がったそうです。
店内では、日本と同じように価格によって皿の色を分け、タッチパネルの「デジロー」も導入します。一方で、米国限定のすしや、地下の個室で楽しむ「おまかせ」も用意されます。
日本で磨いてきた楽しさは残しながら、現地で受け入れられる形へ変えているのです。
スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESでは、直近の海外売上比率が38.6%に達し、海外事業の営業利益も前年同期比83.2%増となりました。
2026年6月には、グループの海外店舗が300店に到達。2035年には海外売上構成比55%を目指しています。
現在の成長をけん引しているのは中国をはじめとするアジアですが、今回のニューヨーク店は、北米市場の可能性を探るだけの店舗ではないのでしょう。
世界中から人が集まるタイムズスクエアに出店すること自体が、巨大な広告になります。
日本では“身近な回転ずし”であるスシローが、世界のど真ん中で、どのような価値として受け入れられるのか。
海外へ進出するとは、日本と同じ価格で売ることではありません。
現地の所得や外食相場の中で、自社の商品がどのような価値を持つのかを見直すことでもあります。
くら寿司が先行してきた米国の回転ずし市場に、いよいよスシローも本格参戦します。
日本の日常食が、世界の日常食へ。
一皿800円の向こう側に、日本の外食産業が世界で成長する可能性が見えてくるのであります。