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益田 和久

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第260回 学校現場のDXと働き方改革〜「現場発」のシステムが教育の未来を救う〜

2026/02/26

先日、日本経済新聞に掲載された「通信制高校の校務DXを促進 元教員がシステム提供」という記事が目に留まりました 。
元教員の保坂英之さんが設立した「ぱんぷきんラボ」という企業が、通信制高校に特化した校務のDXを支援しているという内容です 。

同社が提供するシステム「Student Mypage Lite」は、教材のオンライン添削や生徒情報の一元管理、さらには登校時にスマホでQRコードをスキャンする方式での出欠管理などを可能にしています 。
現在、高校生の約10人に1人が通信制高校に在籍しており、膨大な書類を管理する教職員の負担は非常に大きくなっています 。
このシステムは、14年間の教員経験を持ち、現場の実情を熟知する元教員が監修しているからこそ、多くの学校から信頼を集めているそうです 。

この記事を読み、私は人材教育に関わる者として非常にポジティブなニュースだと感じました。
というのも、私は以前から「学校の先生方の働き方を変えないと、将来教員になりたいという人が減ってしまうのではないか」と強く危惧していたからです。
実際、小学校教員の採用倍率が2.2倍と過去最低を記録し、業務削減やDXが急務となっている現状もあります 。

以前、学校関係者や文部科学省の方々と「先生方の働き方をどう変えるか」について議論したことがあります。
その際の一つの解決策は、「先生方の事務処理業務を専門に請け負う『スーパー事務員』を配置する」という人的なアプローチでした。
もちろん今でもその手法は有効だと思いますが、今回の記事を読んで、それに加えて「DXをもっと強力に推し進めるべきだ」という思いを新たにしました。

学校関係者からお話を伺うと、現在学校側が重点的に取り組んでいるDXは、主にタブレット端末などを活用した「GIGAスクール構想」のようです。
これは「個別最適化」という視点で、落ちこぼれを作らないようにする素晴らしい仕組みです。
また、テスト問題の作成や採点業務などにもDXが採り入れられ始めています。
しかし、先生方が抱える煩雑な校務全体を見渡せば、まだまだDXを展開できる領域は山のようにあるはずです。

学校の取り組みを全て把握しているわけではないので、外部からコメントするのは少し申し訳ない気もしますが、やはり学校現場は民間企業(あるいは一部の自治体など)と比べて、デジタル化が遅れていると感じざるを得ません。
公共奉仕的な側面が強く、物理的にも精神的にも旧来のシステムに縛られているため、なかなか大胆な変革が進まないという事情もあるのでしょう。
だからこそ、今回の「元教員が開発したシステム」というアプローチに大きなヒントがあると思うのです。
現場の痛みを一番分かっている人が作るからこそ、本当に使いやすいシステムが生まれます 。

これからの学校DXを推進していく上で、例えば「現場から意欲的な先生を選抜し、民間企業の最新のDXの取り組みをじっくり勉強してもらう。
その上で、彼ら自身の手で学校DXの仕組みをつくっていく」というプロジェクトができたら、非常に面白い化学反応が起きるのではないでしょうか。

教育の質を担保するためには、先生方が事務作業に忙殺されるのではなく、本来の業務である「生徒と向き合う時間」をいかに確保するかがカギになります。
民間と教育現場が知恵を出し合い、日本の教育環境がより良い方向へアップデートされていくことを期待したい、と感じる今日この頃です。

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