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星 寿美

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第179回 なぜ社員は経営者の思い通りに動かないのか?

2024/10/07

「なぜ社員が思い通りに動かないと思いますか?」と、某顧問先の経営者にお聞きしたことがあります。
すると、「社員のレベルが低い」という答えが返ってきたことがありますが、それは違います。

社員は元々自立自走型ではないから、というのが答えです。
経営者は、自立自走型の人間です。
だから経営者になります。
社員は、そうじゃないから社員なんです。
レベル云々ではなく、ただ役割やタイプが違うだけ。

例えば、経営者は、自分の思い描くビジョンに向かって行動を起こせますし、そのための決断もできます。
リスク(責任)も負います。
判断する権利がある、だから経営者なのです。

社員は、そうじゃないから社員です。

経営者は、その自分の決断一つ一つが、会社全体に、そして会社の未来に、影響を及ぼすことを知っています。
その上で決断します。
だから経営者なのです。

社員は、そうじゃないから社員です。

「そんなこと、当たり前だろう!」

と、言うかもしれませんね。
でも、この決定的な違いを理解できれば『なぜ社員は経営者の期待通りに動かないのか?』という答えは見えてきます。

わかりきっていることかもしれませんが、改めて意識をしていただきたいのです。
もちろん、いい悪いではなく、役割の違いに過ぎません。全員が経営者だったら組織にならず困ってしまいます。

経営者と社員は、タイプが違います。
見ている視点、見えている視野も違います。
そして、当然、立ち位置が違います。

経営者は無意識のうちに、「自分が若い頃にできていた通りのことをして欲しい」「このくらいは分かるだろう」と社員に期待しています。

しかし社員の視点では、経営者からの『期待』がよく見えていません。
するとこの『期待』が、経営者の、そして社員にとってのストレスの元になります。

「じゃあ、どうしたらいいんだ!社員に何も求めちゃダメなのか!」

いえいえ。

根本原因は関わり方にあるので『関わり方』を変えるだけで、求める以上の成果を、社員たちは出してくれますよ!

「いや、ちゃんと丁寧に関わっているよ!」という方もいるかもしれません。

この事例はいかがでしょうか?
ある社員は、経営者とは見えている視野も視点も違うために、経営者が伝える「10」の話を「3」も理解できていません。
『経営者』の方は、社員が「3」も理解できていないこと自体に気づいていません。

その原因はズバリ!

日本語としては100%理解できているが、その言葉や話の『意図』や『背景』がお互いにズレていることです。

そもそも『期待通りに動いてくれない。』以前に、話が伝わっていない、という問題があります。

「いやいや、私はちゃんと関わっている!その都度、しっかり『ちゃんと理解したか、言ってみろ!』と確認をしているよ。」

という経営者もおられるでしょう。

先ほどもお伝えしたように、日本語としては理解できているので、経営者が伝えた通りに復唱できるし、他の人に説明もできてしまえる程です。

だから、経営者からしたら「理解できているのに、動かない問題のある人間だ!」と思うのも仕方がないことかもしれません。

いつも言われてから行動するような社員に対して。

「お客様の気持ちを先回りして考えて行動すれば、喜んでもらえるから、いつも先回りして考える癖をつけろ!」

と言ったとします。

社員は「わかりました!お客様の気持ちを先回りして考えて行動すれば、喜んでもらえるから、いつも先回りして考える癖をつけます!」と答えます。

経営者や上長は、これで伝わった!と感じるでしょう。

しかし、

『お客様の気持ち』という意味や意図。
『先回り』という意味や意図。
『行動すれば、喜んでもらえる』という意味や意図。
『考える癖』という意味や意図。

ここに出てくる単語のすべてが、経営者や上長とは全く違う意味や意図で捉えていたとしたらどうでしょう?

例えば、請求書の書き方を、その社員が考える『見やすい』書き方で作成したとします。
社員にとっては「お客様が見やすいように工夫し先回りし考えた」と思っています。

もしその請求書が届いたら、お客様は『いつもと違う』ので戸惑われるでしょう。
このように、全体の流れが見えていない、独りよがりな「考え」を一生懸命にしているかもしれません。

「そんな単語の一つ一つの意味や意図を説明なんてしていたら、仕事にならん!」

それは確かにその通り。
まさか、すべての単語の意味や意図をすり合わせましょうなんて、私も言いません。

ここで、言いたいのは、経営者や上長が伝える言葉の意図の「3」も相手には伝わっていないと理解しましょう!ということです。

経営者が話す言葉が通じないのは、当然なのです。

じゃぁ、どうしたらいいのか?

その指示の『意図』や『背景』を擦り合わせることで、伝わり方は激変します。
実は、この『意図の説明』や『意図を考えさせること』が苦手な方が多いんですね。
まずは、指示と意図をセットで伝えることを心がけてみてください。

例えば、
「お客様の気持ちを先回りして考えて行動すれば、喜んでもらえるから、いつも先回りして考える癖をつけろ!

この先回りというのは、お客様が『してほしい』と思うことを先に考えるということだ。
その『してほしいこと』ってどんなことがあると思う?」

こうして、一緒に考えて、相手のアイデアを引き出してディスカッションしたらいかがでしょうか?

言葉を投げっぱなしにして指示をするよりも、ずっと多くのすり合わせができますよね。

「あぁ!そういう意図だったのか!」と相手の気づきになれば動けるようになります。
このプロセスをしないで、動かない動かない!と社員のせいにしていたら、いつまでたってもお互いにストレスです。

ほんの一例でしたが、こちらの『関わり方』を、ちょっと変えるだけで、部下の才能をもっと引き出して、成果を上げることができます。

他にも、以前何度か記事に書いた『自尊心を満たす』というのも重要です。
今回の記事では、なぜ、指示通りに社員は動かないのか?という観点で書いてみました。

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