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益田 和久

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第187回 進化によって後退したこと

2024/10/03

先週末は故郷の同級生8人と、新宿歌舞伎町で”プチ同窓会”を開催しました。
カラオケBOXを5時間貸切。
前半は昔話や近況について語り合い、後半は懐メロカラオケ大会で盛り上がりました。
昔話では、”おいた”した話はヤンチャした武勇伝(お恥ずかしながら8割くらいは私の話)が飛び交いずっと笑いっぱなし。
ここのところ多忙すぎて疲れやストレスもたまっていましたが、一気に吹き飛んだ気がします。
そして近況については、勤め人であれば必ずやってくる定年後の生活(現在57歳の世代)や、親の介護の話題(故郷鹿児島にいる親をどうやって面倒を見るのか)が中心で、シリアスモードな会話に。
青春時代をともにした友人達とこんな話をする年齢になったのかと思うと、時の流れを感じずにはいられませんでした。

おじさん、おばさんの集まりなので、カラオケは”懐メロ大会”になるのですが、懐メロって改めて聴くといい歌が多いなぁと感じました。
10〜20代の最も多感で、自由で、未熟だったときの想い出が乗っかっているからだと思います。
勿論、今の歌もいいですけどね。
また昔のアイドルは単独で活動していて、歌もうまくてかわいかったような気もします。(それだけ新陳代謝や淘汰されるスピードも早かったです)
今のアイドルは集団で活動しているせいなのか、それぞれが小粒で印象に残りにくいよね、といった話も出ました。
基本はユニットがあって、そのユニットの誰推しなのかというパターンになっていますね。
この変化自体にインターネットの進化がどこまで影響を与えているのかはわかりませんが、カルチャーという点でいうと人々の嗜好が変わっているのは確かなので、何らかの影響はあるのだと思います。
あと、昔は地上波至上主義でしたけど、今はSNSもありますから、ご当地アイドルや地下アイドルみたいなものも成立しています。

随分と前置きが長くなりましたが、ここから本題です(苦笑)懐メロを歌っていて改めて気づきましたが、手紙、固定電話、ポケベルといったキーワードが多く登場しています。
この時代、どうやって友達と連絡を取ったり、好きな人に自分の想いを伝えたりしたのか、思い返したりします。
それが会話のネタになって、盛り上がったりするわけですが。

今の時代は、どこでも、すぐに、誰にでも連絡が取れる便利な時代です。
しかし、世の中全般的に人間関係が希薄になっているのは皮肉な話です。
対面コミュニケーションが減っていることが原因ではないかと、当コラムでも何度か書いてきましたがそれだけなのでしょうか。

昔は、気持ちを伝える手段は手紙か電話か対面でした。
それだけ手間もかかりましたが、つながったときの喜びもひとしおでした。
そして、相手からの連絡を待ったり、今相手は何をしているのか、どんなことを考えているのかと思いを馳せる時間もありました。
昔のほうが、貴重な機会を大事にし、自分の思いを一生懸命伝えようとするひたむきさや、相手のことを理解しようとする寛容な気持ちがあったように思います。
コミュニケーションの手段が増えるほど、外形的には便利になったように感じますが、内面的なもので大事なものを失っているような気がします。

今回の懐メロカラオケ大会の帰り道、昔の良さと今の便利さを改めて考えさせられました。
どちらも大切にしながら、バランスを取っていくことが必要だと感じた今日この頃です。