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益田 和久

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第189回 ドラえもんがいたから

2024/10/17

大山のぶ代さんが逝去されたとの報道。
90歳。「ドラえもん」(の声優)として四半世紀。キャラクターも相まって国民的なスーパースターだったと思います。
90歳。
「ぼく、ドラえもん」のセリフは、私を含め一定以上の年齢の方は、子供の頃に一度は真似したことがあるのではないでしょうか。
あの独特の“人懐っこいダミ声”は国民全体に広く親しまれたと思います。
10年程前から認知症を発症して、ここ数年は老人介護施設で生活されていたとのこと。
今年に入ってからは体調を崩しがちで、入退院を繰り返していたようです。
スーパースターの最期にしては、何だか寂しい気もします。

ドラえもん役に起用されたのが1979年。
私は小学生でしたが、ドラえもんの声=大山さんというイメージが強く刻まれています。
大山さんご自身も最初のうちは「こんなダミ声でいいんだろうか」と試行錯誤で演じていたようですが、原作者の藤子・F・不二雄先生から「ドラえもんって、こういう声だったんですね」とお墨付きをいただいて自信がついたそうです。
「ぼく、ドラえもん」のセリフは最初台本になかったそうですが、ご本人が「自己紹介が必要」と考え自ら提案したそうです。年齢的には天命を全うされたと思います。
ご冥福をお祈りします。

さてドラえもんといえば、ポケットから出てくるひみつ道具。
子供の頃は主題歌の歌詞にある「あんなこといいな、できたらいいな、あんな夢こんな夢、いっぱいあるけど。みんなみんなみんな、かなえてくれる。不思議なポッケでかなえてくれる」と、毎週どんなひみつ道具が出てくるのか楽しみでした。
このコラムの視点からすると、デジタル最先端をいっていたのがドラえもんだったと思います。

数え切れないくらい出現したひみつ道具の中で、現代の技術で実用化されているもの、このコラムと連動してオンラインやデジタル関連のものについて、ピックアップしてみました。

①ほんやくコンニャク:
そのコンニャクを食べるとどんな言語でも理解できるようになる道具です。
Google翻訳やポケトーク等の音声翻訳アプリがこれに近い機能を提供していますね。
今や、インバウンド対応や海外旅行先では必需品になっています。
「言語を学ぶ」ということに関して、根底から揺るがすくらいのツールになっているような気がします。

②近道マップ:
目的地までの最短ルートを教えてくれる道具です。
Google MapsやNAVITIMEなどのナビゲーションツールの元祖ですね。
近道マップは渋滞や工事等の情報反映機能も備えた上で、リアルタイムで最適なルートを案内していたのでしょうか。

③糸なし糸電話:
離れた場所でも会話ができる道具。
これが世の中で最も活用されている携帯電話やスマートフォンですね。
世界中、いつでもどこでも誰とでも簡単にコミュニケーションが取れるようになりました。

他にもいくつかのドラえもんのひみつ道具が現代の技術で実現されています。
デジタル。オンライン関連だと、

④トレーサーバッジ:
位置情報を把握する道具です。
現代でいうとGPS追跡タグやスマートフォンの位置情報サービスでしょうか。

⑤インスタント旅行カメラ:
背景と人物を合成して旅行先で撮影したような写真を撮れる道具です。
Photoshopなどの画像編集ソフトがこれですね。

⑥音消しマイク:
周囲の人には聞こえないようにする道具。
ノイズキャンセリング技術として実現されています。

今の世の中からすると、身近に存在するものばかりですが、半世紀近く前からデジタルな世界に思いを馳せ、具体的な道具としてアウトプットした作者の想像力は、すごいとしかいいようがありません。
現在においても、様々なサービスやソフト、アプリの開発が行われ、DX化は加速度的に進化を遂げていますが、発想力や創造力は、商売的な視点からではなく、子供が抱く「あんなこといいな、できたらいいな」という純粋な視点から築かれるのではないかと、改めて感じた今日この頃です。