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岩田 徹

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第196回 頑張る、ではなく、楽しむ

2024/09/13

9月に入り、プロ野球も終盤戦を迎えています。
セリーグは巨人、広島、阪神、DeNAが僅差で争うドキドキした展開に。
パリーグはソフトバンクにマジックが点灯しており、
年間での首位は譲りそうにないですが、
両リーグとも、クライマックスシリーズへの出場を懸けた白熱の試合が、
毎日展開されています。
最後の最後まで手に汗握る展開で、最終盤まで楽しませてくれそうな、
そんな今シーズンになっています。

その中で、パリーグの日本ハムが6年ぶりのクライマックスシリーズ進出に向けて、
この時期まで上位の順位を保っています。
日本ハムはかつて、ダルビッシュ選手や大谷翔平選手などが在籍し、
一時代を築いた時もありました。
が、前述の中心選手が大リーグに移籍したりするなど、
近年は上位争いに絡めず、早々と下位順位が確定する状態でした。
現在の日本ハムの監督は新庄剛志さん。
監督就任時にはビッグボスと名乗るなど、大きな注目を集めていました。
選手起用でも若手にどんどんチャンスを与え、
その若手が力をつけ、現在主力選手に育っています。
短期的な結果を求められるプロの世界ですが、
結果が出ず批判を受けながらも我慢し続け、ようやく成果につながりつつある、
そんな状態が今年の日本ハムなのかと思います。

そんな新庄監督が9月に入り、選手を取材する報道陣に異例のお願いをしました。
それは、シーズン序盤から選手たちは「頑張ります!」という言葉を胸に、
半年以上ものシーズンを戦ってきました。
そして終盤を迎えて上位をキープしているこの時期、新庄監督は、
「残り試合も少ないから、頑張るのをやめよう。楽しもう。」
とチームに言い続けているそうです。
そのため報道陣にも、取材で選手の口から「頑張ります。」という言葉が出てきたら、
「楽しみます。」に変えてしまってください。とお願いしたそうです。

表現の仕方ひとつですが、頑張ろうとすると余計な力が入りすぎ、
うまく結果につながらないこともありますが、
楽しもうという気持ちがあると、少し気持ちに余裕ができ、心が楽になる、
と、選手たちも意識を変えているそうです。
新庄監督は選手に対しても、「頑張れよ!」とは言わず、
「楽しもう!」と、就任当初から声がけしているとのこと。

就任してから3年間、良い結果が出なかったチームが、
今年は終盤まで上位争いをしています。
新庄監督のチームマネジメントのヒントの一つが、この言葉遣いだと思います。
表現一つで心のあり方が変わる。
ビジネスの世界でも応用したい事例ですね。