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深山 敏郎

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第155回 困ったときの老荘だのみ エピソード55

2024/06/04

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの154回目では、「盗賊の驕り」について検討してきました。
私たち人間は、ついつい自らの立場に与えられた特権に有頂天になり、邪道に堕ちてしまいがちです。
結果として誰かを苦しめることになるのです。
それこをが「盗賊の驕り」です。

今回は「自律にまかせよ」です。

「自律にまかせよ」とは何か

今回は老子の言葉「自律にまかせよ」の意味をご一緒に考えましょう。
老子は言います。
われわれの内にしっかりと根ざしたものは盤石である、と。
老子は自分自身に内在する「徳」をしっかり守り続けることによって、間違うことがないと言いたいのです。

個人には個人に内在した「徳」、つまり「道」に則った生き方をすることによって、よこしまな思いに操られずに済むのです。
家族であれば、家族に内在した「徳」によって治めればよいのです。

会社という組織であっても、その組織に内在する「徳」に則った運営をすればよいのです。
いわゆる良識というものが重要だと老子は言いたいのです。
より大きな単位であれば国家や広い意味での社会ということになります。
それらに特有の「徳」があり、それぞれの「徳」によって運営していけばよいのです。
それこそが「自律」ということです。

組織を例にとれば、大企業には大企業の論理があり、その「良識」をもって組織を統治すればよいのです。
小規模な企業には、また独特の「良識」に従って運営されることによって、それぞれが自律できるのです。

小規模事業者が大企業のまねをしても、長期的に顧客に愛されることは難しいことでしょう。
大企業も同様のことがいえます。
他社を参考にすることは良いとしても、自社に内在する組織の目的・使命は何かを見定めずにただまねをしても同じ効果は得られません。

「自律」の意味を、改めて考えてみませんか。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ
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