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岩田 徹

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第163回 指導する側の勉強

2024/01/26

メジャーリーグ、パドレスに所属しているダルビッシュ選手。
昨年開催されたWBCでは大会優勝経験者として精神的支柱となるだけでなく、
日本のプロ野球で活躍する若手投手陣の良き相談役として活躍されました。
そのダルビッシュさんが野球界に提言したこと。
それは、日本のプロ野球の一部の指導者の勉強不足です。

ダルビッシュ選手が直接選手から相談を受けて感じたことは、
これからの時代を担う若手選手と指導者との乖離だそうです。
若い選手たちは様々な情報入手ルートから多くの知識を得て、
昔の時代と違って賢くなっているとのこと。
一方で指導者側は、自身の成功体験に基づく自信を背景に、
科学的根拠がなく、論理的でもない指導方法や、
精神論的な指導に陥る方がいらっしゃるようです。
自分の主観で感じる何となくの課題を選手に提示し、
走り込め、投げ込め、と、自身の経験をもとに指導してしまうそうです。

今の時代と違い、私の時代は走り込み、投げ込み、振り込みの時代でした。
今は運動力学や物理学など、一つ一つのトレーニングにも学術的裏付けがあります。
S N Sなど、ネット上に溢れる情報でも、
非常にわかりやすく論理的に技術を説明していて、
選手個々が自ら学び実践し、技術の向上に繋げることもできるようになっています。
監督やコーチからの指示、指導は、昔の時代は100%Y E Sでしたが、
今の時代は知識不足が露呈すると100%の納得を得るのが難しくなっています。

未来に大きく育つ素材を持った選手たちの可能性を潰さないためにも、
ダルビッシュ選手は指導する側が学び成長することで、
日本野球界のさらなる発展を願っているのだと思います。

実際のビジネスの場でも同様のことが言えます。
私たち世代が気合いや根性で勝ち取った成功体験を、
そのまま若い世代に押しつけ、コピーロボットを量産するかのような指導をしていては、
時代の波に飲み込まれるでしょう。
育成する指導者側がより勉強し、今の時代にあった、
それぞれの個性に合った育成をする必要があるのでしょう。
経験を積み、年を重ねて立場が変わっても、常に学び続ける必要がある時代。
これまでの経験で人生を逃げ切ろうと思っても、そう簡単にはいかないですね。