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星 寿美

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第28回 お客様も社員もみんなが満足する方法

2021/10/24

お客様あってのビジネス。それは本当にその通りです。
だから「お客様を笑顔にする、お客様のために・・・。」という意識は重要ですよね。

でも、そのことをあえて謳わなくても、自然に『そう在る状態』になる方法があります。

「あぁ、社員満足でしょ。」って思われた方、多いかと思います。結論から言えば、その通り。
でも、少しだけお付き合いください。もしかしたら、何かしら発見があるかもしれません。

よく言われる社員満足の落とし穴

よく「社員が満足していないと、お客様を喜ばせることができないから、社員満足度を上げるために頑張っている。」と仰る経営者、本当に素晴らしいです。このように考える経営者がもっと増えるといいなと思います。

お給料制度や、残業が発生しない仕組み、さまざまな施策を実行。
しかし、社員からは不満の声が・・・。

「なんなんだ!社員、ワガママすぎる!ここまでやってあげる会社はないぞ!」
「こんなんだったら、甘やかさない方がいいんじゃないか・・・。」

憤りはごもっともです。社員たちが口にする不満、例えば『お給料』『残業』『正当な評価』『休日』など、それらは本音ではあるのですが、その本音の不満を解消しても満足しないんです!

「え?
社員の不満を聞いて、改善してるんだぞ?」

そうですよね。

もちろん、これらのことを具体的に改善するのは素晴らしいことではあるのですが、それ以前にやるべきことがあります。それさえやれば、多少制度に課題があっても不満にはなりません。

それどころか、課題を自分たちでどうしたら『成果を上げながら、よりよくするには?』なんて考え出し、解決してしまうかもしれません。

子育ても同じですよね。子どもの不満を親が解決していたら、子ども成長できないし、自ら解決しようなんて思考にもならなくなります。

本当に経営者(会社)と社員たちとの関係は、子育ての関係に似ているなぁと実感しています。

では、どうしたらいいのでしょうか?その話をする前に、まず教育を定義してみましょう。

教育の定義

社員が辞める理由のNo.1が『人間関係』だという統計が中小企業白書などからもわかっています。

そう。制度よりも何よりも大事なのが、この『人間関係』です。
これはチームビルディングやコミュニケーションなどの研修をしたから解決できる種類の『人間関係』のことを言っているのではないのです。

もっと根本的なこと、土台を整えないと、研修などで一瞬よくなったり、モチベーションが上がっても、また問題は起こるでしょう。そんな経験をたくさんしてきているのではないでしょうか?

つい先日も、
「こんな研修を導入している。あんな研修を導入している。社員のために、時間もお金も投入しているんだ!なのに・・・。」

という話をされた経営者の相談に乗ったばかりです。

私は、
「そうですよね。そこまでされて、本当に素晴らしいと思います。それなのに、社員たちが思うように変化しないのはもどかしいですね。実はそういう会社さん、非常に多いんですよ!」

と答え、自分が関わって解決した事例をいくつかお話させていただきました。(事例は、バックナンバー記事でも紹介しています。)そして、その方も、教育を見直し、解決に向け、一緒に取り組みをはじめたところです。

まず、教育の考え方そのものを変えなくてはいけない時代にとっくに突入しています。
今までの教育(学校教育も人材育成も)は、理想の形に当てはめて「こうなれ!」という教育です。

しかし、今は答えのない不安定な時代、そしてインターネットで誰もが情報をいくらでも取れる時代。
理想の形に当てはめようとしても無理があります。
今までの教育は『工場型教育』と言って、従順な社員を育成し、素質ある人をリーダーに育成し、型にはまった組織運営をするためのもの。

「じゃぁ、工場などでは有効では?」

いえいえ、その教育が必要な仕事は、もう人間ではない、例えばロボットやAIが担っていくので、そもそももう必要ないと思います。
逆に『自分の頭で考える人』を増やさないと、人手不足なのに、使える人がいなくて困ってしまう状態になってしまうと危惧しています。

『自分の頭で考える人』の中で、それぞれのタイプを活かせばいいのです。
サポータータイプ。
黙々と作業するのが好きなタイプ。
リーダータイプ。

よくタイプ分けの本などが出ていますが、いくつかのタイプに分ける、のではなく。人の数だけタイプがあります。
型に当てはめるのではなく、それぞれの『ありのまま』の能力や性質を活かし、相乗効果を高めるのがこれから重要です。

それは『ありのままを受容し合う関係』を築くことで可能になります。
そのために、まずは経営者自身が『ありのまま』であることが最重要です。

ここでいう『ありのまま』とは、わがままとは全く意味が異なります。
自分が誰で、なんのためにいま、ここに生きているのか?それを感じて、自分の感覚に正直に在るということです。
本来はシンプルな問いなのですが、教育の賜物でそれが難しく感じるようになっている、現代社会。どこかで『相転移』しないといけない時代に、もうとっくに入っているのです。

お客様も社員もみんなが満足する方法

まず、経営者自身が『自分が何者で、なんのために、いま、この会社を経営しているのか?』という、人生(魂)レベルで経営を捉えること。

それが『ありのまま』の第一歩。一人では難しいと感じる方は、『適切な、上質な質問』ができる方と深い対話をすることで明確になります。
問題は『適切な、上質な質問』ができる人が少ない、ということ。
質問の知識があっても、こればかりは『センス』や『さまざまな体験』が必須になるからです。

逆に、小学生くらいの子どもと話すといい発見が多いのですが、大人として(答えを持って)子どもと接してしまうと、その発見を見逃してしまうため、それが難しい大人が多いなぁと感じます。

とことん、本質的な(本質的なことというのは、非常にシンプルだけれど、表面的には矛盾をはらむので、理論で考えると深まらないことが多い。)対話を深めることが、すごく大事です。

そして、経営者自身が自分の『その感覚』に正直に在る。
その自分の『道』に社員たちが、結果的に巻き込まれて行きます。

経営者がありのまま、自分の道を作っているその『在り方』が、社員一人一人に影響し、会社という同じ目的に向かう『船』という枠の中で、社員がありのまま、自分の能力を発揮できます。

それは例えば、
親が、自分らしく自分の道を歩いていれば、その背中をみて、子どもも安心して「親とは違う、自分の道」を歩める、ということに似ています。
親が自分自身も自分の道を探究せず(自分に不誠実)に、子どもに「あーしろ!こーしろ!」と命令していたら、子どもはどうなるでしょうね?

経営者が自分に正直で在ること。
自分の道を探究していること。
その背中を見て、同じ目的に向かい、一人一人の社員が自分らしく会社に貢献すること。
そんな会社のお客様が笑顔にならないわけはない。

経営者が自分自身を生きている!だから、経営者は社員一人一人の『ありのまま』を本当の意味で受容でき、社員が自分らしさを発揮できる。

経営者であれ、社員や、誰もが『自分を受け入れている分、人を受け入れられる。』『自分を尊重できた分、人も尊重できる。』からです。

それが、お客様も社員もみんなが満足する方法です。
もう制度などの、表面的なことをなんとかしようとしても難しい時代です。

もちろん、人が集まれば、さまざまな『人間関係』という問題が起きます。
きっと『人間関係の問題』がなくなることはありません。だから、私は『人間』が面白くて仕方がないのです。

その『人間関係の問題』を成長する機会にするか、ただの問題にするか。
今、この現代はそこを問われているのではないかと、日々実感しています。