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岩田 徹

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第45回 入口も出口も

2021/10/22

今や高校野球において全国屈指の強豪校となり、
その名を聞けば相手も怖がる大阪桐蔭高校。
毎年有力選手が集まり、熾烈な競争に勝ちレギュラーを奪い取るには、
もともと持っている素材だけでなく、弛まぬ努力が必要なのでしょう。

大阪桐蔭高校の西谷監督は名将と呼ばれ、
監督歴23年で甲子園通算56勝。
夏の選手権で4度、春の選抜で3度、全国優勝へと導いています。
西谷監督は選手数を1学年20名にしているそうです。
一人一人と日誌の交換を行い、個別に選手を見て一体感を出すには
それくらいの人数がギリギリ、との理由だそうです。

人材獲得について、大阪桐蔭ほどの強豪校であれば勝手に人が集まってきそうですが、
そうではなく、西谷監督が全国から情報を集め、スカウト活動をしています。
社会科の教員であり監督であるため、基本的にスカウト活動できるのは
土曜日の午前中のみ。
それでもこの人材と思ったら何十回と通い口説きます。
こうして集まった1学年20名の精鋭部隊。
中学年代で名を馳せ、同年代では頭ひとつ抜けた選手でも、
入学後はそのレベルの高さに圧倒されるそうです。

高いレベルで切磋琢磨して練習し、レギュラーを目指してアピールする。
それだけではなく大阪桐蔭高校は、11月の公式戦終了後の1カ月間、
連日のように練習試合と紅白戦を行い、実戦の中でアピールをします。
秋の公式戦に出場できなかった部員を中心に60打席以上の機会を与え、
結果次第で主力組、レギュラーへと抜擢されるそうです。
元々の主力組も安心できず、非常に高いレベルでの競争が生まれます。

また進路指導でも一人一人と向き合い、大学、社会人へと送り出しています。
どの大学、社会人チームではどのポジションが足りないのか、
一人一人の特性に合わせて進路を決めているそうで、
高校時代にレギュラーを取れなかった部員が大学で活躍し、その後プロになった、
という事例もあるそうです。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

優秀な人材を自ら見つけて口説く採用。
採用した人材を育成しチーム力を向上させ強豪校とする。
3年間という短いスパンではなく、その後の野球人生も考えた上での進路指導。
入学から卒業後までを見据えて一人一人と向き合うからこそ、
監督を信じて優秀な選手が集まるのでしょう。

自社に入社することによって提供できる価値を明確にし、
目指す姿で惹きつけて、共に頂を目指す。
短期での成果のみならず、長い人生を生き抜く上でのスキルを身につけさせる。
大阪桐蔭高校野球部の徹底した強化策は、
企業の採用、育成においてもヒントになるのではないでしょうか。