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星 寿美

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第27回 経営者は幹部とどう関わるべきか?

2021/10/17

『経営者は幹部とどう関わるべきか?』という問いをたてて、改めて考えてみたことはあるでしょうか?
私は、今まで60社以上の中小企業と深く関わり、経営者の悩みを聞き続ける中で、経営者と幹部との関わりについて感じていることが2つあります。

・多様なアイデアが出せる環境を整える
・参謀を育てる

一つずつ説明します。

多様なアイデアが出せる環境を整える

自分に近い感覚の方や、自分の意見に賛同してくれる方ばかりをそばに置くのは非常に危険です。
当然、それを理解されている方が多いのですが、わかっていても、例えば、意見が合わない幹部を『あいつはダメだ』と決めつけてしまう方がたまにいらっしゃいます。

また「自由に意見(アイデア)を出してくれ!」「〜については、全て一任する!」などと言っているのに、実際は経営者の中に答え(理想)があって、その答え(理想)通りに動かないと「それじゃダメだ!」となってしまうことも、たまにお見かけします。(ご本人は無意識でしている場合もあります。)

もちろん、経営者自身の『想い』『哲学』『美学』(=これらを総称『ブレない軸』と書きます。)は必要ですが、それらと上記に書いたことは全く別物なのです。

『ブレない軸』を大切にしつつ、時代や状況に合わせて進化し続け、成果をあげ続けるために、どうしても多様な価値観やアイデアにお互いに刺激をうけながら成果を創造していく必要があります。

特に、現代は成長期でも安定期でもなく、不安定な時代ですから尚更です!だから、自由に自分の意見やアイデアが出せる環境を整えておく必要があります。

「いや、うちは『なんでも意見出して。』といつも促しているよ。」とおっしゃる方も多いでしょう。
それで本当に自由闊達に意見が出ていれば素晴らしいです!しかし、どうでしょうか?

環境を整える、とは「言葉で促す」ことではありません。
どんなに言葉で促しても「言いづらい雰囲気」「言ってもどうせ無駄という諦め」「黙っている方が得」などの雰囲気だと、言葉は無力です。

例えば本筋とは違う意見=「少し本題とはズレるかもしれないですが・・・」「関係ないかもしれませんが・・・」など、その時に思いついたまま自由闊達に意見を出し合えるような『場』を創造できているかどうかは、日頃の経営者と幹部の関係性によるものが大きいのです。

日頃から、意見を言いやすい関係=信頼関係を築いているでしょうか?
それは、時代や状況に合わせて進化し続け、成果をあげ続けるために必要な要素です。

参謀を育てる

『右腕が欲しい!』この言葉を、本当によく聞きます。
多くの経営者の心の叫びなのだと感じています。
しかし、なかなか思うように『右腕』の存在と出会えない方が多そうです。(もちろん中には右腕をうまく育てたり、出会えたりしている経営者もいます。)

さて、このよく聞く『右腕』なのですが、右腕とはどういう人のことを言うのでしょうか?(右腕については、別記事でもさらに詳しく書こうと思っています。)

簡単に言うと『経営方針に沿って実際に部下を動かし、自身も動く存在の人』です。それができるなら、この右腕が経営者になればいいのでは?と思いがちですが、実は経営できる人と右腕だから実力発揮できる人は違います。
右腕は『現場のTOP』としては能力を思う存分、発揮できる人なのです。

ポイントは『経営方針に沿って』と言う部分です。
右腕は経営者の『ブレない軸』を十分に理解している人だと言うことです。

そして『右腕が欲しい!』と願う、経営者の身近に『右腕予備軍』の存在がすでにいます。
その右腕になりうる人を育てればいいのです。
しかし、誰も『完璧』な人はいないので、右腕になりうる人の能力不足が目についてしまい「いやいやいや、右腕じゃないだろう。」と感じるかもしれません。

けれど、必ず『ブレない軸』のよき理解者、かつ、部下に指示を出す時、同じように『ブレない軸』を捉えた指示を出している人がいるはずです。
誰よりも自分のことを理解している幹部、その幹部が『右腕』に育つかどうかは経営者の日頃の関わりに大きく影響します。

人の育成は、関係性が一番大きな要素なのです。

「いや、右腕と言うのは戦略を練ってくれる人のことだ!」と言う方もいらっしゃいます。
それもその通りですね。

戦略を練ってアドバイスをくれる人=参謀です。

参謀の存在はとても大事です。
例えば戦国時代でも、優秀な参謀の存在次第で結果は変わります。
そのくらい大事な参謀です。

その場合も『ブレない軸』を理解し実行できていないと、戦略自体ブレたものになってしまいます。
私は武田信玄が好きなので、つい武田家で例え話をしてしまうことが多いですが、かの有名な参謀、板垣信方も武田信玄のことを深く理解していたからこその、大活躍だと思います。

経営に長けている人、戦略に長けている人、などを求める気持ちは理解できますが『ブレない軸』を理解し実行できている人と言う部分が必要不可欠、一番大事な要素です。

逆に、戦略に長けていない人でも『ブレない軸』を理解し実行できている人であれば、経営者のアイデアだしの際に、とてもいい相乗効果が生まれます。

経営者は自分の中に答えを持っているもの。
それが言語化できていない時に「戦略家が欲しい」と思うのではないでしょうか?

だから『ブレない軸』さえ共有できていれば、その人に対してアイデアだしをすることで考えが整理されたり、ふと言ってくれた何気ない言葉が刺激になって、いいアイデアが創造されたりするもの。

もちろん、戦略などに長けた右腕がいれば、それに越したことはないですが、まずは、信頼関係を築いている、かつ自分を一番理解してくれる人が『右腕候補生』です。

どうでしょうか?一人、二人いますよね?それぞれの性格や得意を活かした右腕育てをすればいいのです。
育ての基本は日頃の関係性です。
日頃の関係性とは、他の記事でも何度も書いているように『ありのままを受容する』と言う部分が基本です。

『ありのままを受容する』とは、相手の意見を受け入れる必要は一切なく、ただ「あなたはそうなんですね」と存在をそのまま受け入れると言うこと。
そんなシンプルなことが基本なのです。

私が経営者と幹部や部下、一人一人と面談し深く関わる中で、経営者自身が全く気づいていない『右腕となりうる人』を発掘し、関係性の中で自然に育って、大活躍している幹部が何人もいます。

『大切なものは足元にある』ぜひ、その視点で幹部の顔を一人一人思い浮かべてみてくださいね!