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益田 和久

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第22回 AIに学ぶこと

2021/08/05

コロナ禍の影響により、旅行やレジャー、外食、ファッションなどの「外出型消費需要」が減少する一方で、ゲーム、デジタルコンテンツ、PC関連、家具等の「巣ごもり消費需要」が絶好調のようですね。
家にいる時間が長くなったことで、テレビやPC、タブレットに向き合っている時間も長くなりましたし、それに比例した“投資”をしていることも確かです。
ただ、巣ごもりする時間に加えて投資を促進させているのは、間違いなく「AI(人工知能)」の力ではないかなと思います。

情報検索をしていると、自分の興味のある商品(サービス)の広告が出てきますし、それも仕事とプライベートかを判断して状況に適したものが出てきます。
情報検索サイトに広告が溢れているのは見慣れていて、一切気にならないのですが、興味のある広告がでてくるとついついアクセスしますよね。
また、これまで以上に利用頻度が増えたAmazonは、アクセスすると頼んでもいないのにオススメ商品が前面に出てきます。

提示されたオススメ商品は「おお、こんなの欲しかったんだ」「よくぞ、知らせてくれました」というものが多く、悔しいかなAmazonのAI機能に感謝と感激をすることが多く、気がつくとポチッとしてしまい、わかりやすいほどAmazonの術中にハマっています(笑)。
またAmazon musicは聴きたそうな音楽を、YouTubeは観たいコンテンツをオススメしてくれ、いずれも自分のことをよくわかってくれているなぁと思うと同時に、デジタルライフを送る上では欠かせないパートナーになっています。
そのように感じている方は多いのではないでしょうか。

背景にあるのは、言わずもがなAIの力ですよね。
デジタルツールと向き合う私たちの一挙手一投足を把握分析して、最適な提案をしてくれているわけですが、その能力は想像以上に高いものだと思います。
いわゆる日常のデータを分析しての「仮説提案」ということになりますが、これは私たち人間でも同じようなことをやっています。

例えばデパートの外商さんは、お客さまとの会話や購入履歴から先回りしての商品提案は昔からやっていましたし、商店街の肉屋、八百屋、魚屋の方々は常連さんの好みをよくわかっていて、よさそうなものがあると「美味しい〇〇が入ったよ」と自分から声をかける。

漫画の世界では、サザエさんに出てくる三河屋さんが、サザエさんのお宅の味噌や醤油が切れるタイミングをわかっていたりと、「仮説提案」はコンピューターもインターネットもない時代からやっていたわけです。

オフィス向け宅配弁当で有名な玉子屋のロス率(廃棄率)は0.1%。毎日約6万食の当日注文を、オーダーが来る前から作り始めて廃棄は約60個。
お弁当屋さんの一般的な廃棄率は3%と言われますから驚異的な数字です。これは、前日に取引先を回った配達担当のスタッフの方が各自で判断した予想数に、天気や曜日、日程、メニュー内容などの要素を加えて、最終的な見込み数を決定するそうです。いわゆるアナログです。

人間は、デジタルに頼らずAIと同じくらいのことはやっているわけですが、その背景にあるのは、デパートの外商さんも、商店街の方々も、三河屋さんも、玉子屋さんも「お客さまとよくコミュニケーションをとっている」ことが伺えます。

GoogleやAmazonは、違う手法で我々とコミュニケーションをとっており、ITの特性を活かした情報収集や分析、提案をしています。AI技術を導入して、顧客接点の品質向上を図っている企業も数多くありますが、そのベースになるのは、顧客のことをよく観察し、コミュニケーションを図りながら、顧客の現状やニーズについて深く理解しようとする「顧客指向」のマインドではないかと思います。

日常の何気ない会話や行動を記録しながら、定期的に分析や判断をしていくことの必要性を感じる今日この頃です。