中小企業の経営者からよく聞く声の一つに
「うちには管理職が育たない」
という悩みがあります。
現場を支える中核人材がいないと、
社長がすべての判断を担わざるを得ず、
組織の成長は頭打ちになってしまいます。
では、なぜ中小企業では管理職が育たないのでしょうか。
◆「ある日突然、管理職」にされる現実
大企業では、
管理職候補に対する研修や
階層別教育が整備されており、
段階的にリーダーシップを
学ぶ機会があります。
しかし中小企業ではそうした
仕組みがほとんど存在しません。
多くの場合、部下やメンバーが
増えたタイミングで
「今日から君は管理職」と
肩書きが与えられ、
マネジメントを求められるのです。
準備期間もなければ、
求められる役割の理解も十分でないまま
「現場の延長」で対応してしまい、
行き詰まってしまうのです。
◆プレーヤーとしては優秀、でも…
中小企業の管理職には、
社歴が長く、プレーヤーとして優秀な人が
多いという特徴があります。
現場の仕事を熟知し、
成果を出す力は一級品です。
しかしその反面、
部下に仕事を任せることが苦手で、
自分で手を動かしてしまう傾向があります。
結果として
「プレーヤーのまま管理職」
という状態から抜け出せず、
組織のボトルネックになってしまうのです。
さらに厄介なのは
「できない人の気持ちが分からない」という点です。
自分が努力や工夫で
成果を出してきた経験が強いため、
「なぜこんなこともできないのか」
と部下を責めてしまいがちです。
仕事ができない人がつまずくポイントを理解できず、
教えるのも不得意。
これでは部下は育たず、
管理職本人も苦しむ結果となります。
◆育たないのではなく、育てていない
つまり「管理職が育たない」のではなく
「育てる仕組みがない」のが
中小企業の現実です。
プレーヤーからマネージャーへと
役割が変わるには、
意識とスキルの両面で学び直しが必要です。
部下とのコミュニケーション、
目標設定とフィードバック、
業務の優先順位付け―
これらは自然に身につくものではありません。
体系的に学び、実践し、
振り返る場が必要なのです。
◆経営者に求められる視点
経営者としては、
管理職に「現場で結果を出すこと」ではなく
「人と組織を成長させること」を
求める必要があります。
そして、そのための教育投資を
惜しまないことです。
たとえ小さな企業でも、
簡易的な管理職研修や
外部の学びの場を取り入れることで、
大きな変化を生み出せます。
管理職は企業の成長を支える要。
育つのを待つのではなく、
戦略的に育てていく-
それが、中小企業の成長に
欠かせない人事の視点です。
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