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岩田 徹

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第195回 参加ではなく競争

2024/09/06

現在開催中のパリ・パラリンピック。
連日日本選手のメダル獲得のニュースが流れており、
オリンピックに続き、日本人として誇りに感じる日々を過ごしています。
そのパリ・パラリンピックの車いすテニス女子代表の上地結衣選手。
2014年に女子車いすテニスダブルスで史上3組目となる
年間グランドスラムを達成した、車いすテニスのレジェンドです。
パラリンピックもリオデジャネイロ、東京に続いて3大会連続の出場。
東京ではシングルスで銀メダルを獲得しています。

その上地選手がパラリンピック開催前に、
「私は2024年のパラリンピックには参加しません。」
と宣言されました。
そして続けて「私は競争します。」
と記載し、上地選手がトロフィーを掲げる写真を掲載しました。

その意図は、パラリンピックの選手がメディアから、
競技者としてではなく参加者として表現されることがよくあるとのことで、
パラスポーツへの捉え方について指摘していました。
確かに「過去最多の参加者」、と放送されているシーンを見たことがあります。
私自身もなんの違和感も持たずに受け流していました。

上地選手として東京での銀メダルは決して満足いく結果ではなく、
この3年間、必死の努力を続けてこられたと思いますし、
この3年間だけでなく、10年以上も世界のトップを走り続けています。
だからこそ、パリに参加しに行くのではなく、競技しに行く。
金メダルしか考えていないのだと思います。

参加なのか競技なのか、
たった2文字の表現の違いですが、その意味は全く違います。
ましてやそこに人生を賭けている方からすれば、
大きなショックを受けるのは当たり前です。

日常で何気なく使っている言葉に気をつけようと改めて考えさせられた出来事でした。
上地選手には、表彰台の最も高いところで金メダルを掲げていただきたいです。